目次
まえがき
本書をご覧いただきありがとうございます。
B-R サーティワンアイスクリーム(2268)は、日本におけるアイスクリームチェーンのリーディングブランドとして長年親しまれてきました。
「31 Flavors」という多彩な商品展開、強固なフランチャイズネットワーク、高いブランドロイヤルティに支えられ、安定した業績・財務体質を維持してきた同社。
本書では、企業概要、業績、財務、経営戦略、株価見通し、競合環境、投資判断まで、個人投資家に役立つ情報を網羅的に解説しました。
ぜひ本書を、投資判断・企業理解の一助としてお役立てください。
第1章 企業概要
B-R サーティワンアイスクリーム株式会社(証券コード:2268、東証スタンダード)は、1973年に米バスキン・ロビンス社と不二家の合弁で設立された、日本を代表するアイスクリームチェーンです。現在、代表取締役会長兼社長CEOはジョン・キム氏。本社は東京都品川区、資本金は約7億3,528万円、連結従業員は252名(2022年12月末時点)です 31アイス。
「サーティワン アイスクリーム」のフランチャイズ展開および直営店運営
アイスクリーム製品や関連商品の製造・輸出入・販売
加盟店への経営指導・店舗設備提供 ザイマニ+1531アイス+15Fisco+15
日本国内におけるアイス専門店FCチェーンのリーディングブランド
全国に約1,000店舗以上(直営+フランチャイズ)を展開中 31アイス+4Investing.com 日本+431アイス+4
不二家・伊藤忠・ダンキンブランドの強力な親会社支援により、安定した仕入力とブランド力を保持
1973年:バスキン・ロビンス、日本での第一号店を開業
その後、不二家との合弁構造のもと、日本全国でフランチャイズ展開を拡充
1987年:東証2部に上場(1987年12月10日)
現在はサーティワンブランドを中心とした製品販売と店舗運営に注力
代表者・経営陣
代表取締役会長兼社長CEO:ジョン・キム氏(John Kim) アメリカ国外での展開経験も豊富なグローバル経営者で、国内外のブランド強化をリード
本社:東京都品川区上大崎311 目黒セントラルスクエア16階
その他、全国各地に支店・事業所を展開
「お客さまの幸せのために、もっと。」 を企業スローガンに掲げ
商品開発・サービス・体験の向上を通じて、顧客満足とブランド価値の最大化を追求
第2章 企業業績
B-R サーティワンアイスクリーム株式会社(2268)は、日本の外食・菓子業界において安定的な業績を維持しつつ、コロナ禍を乗り越えた実績があります。本章では、直近の業績推移と特徴を詳しく解説します。
【売上高の推移】
2022年12月期:売上高 約125億円
2023年12月期:売上高 約132億円(前年+5.6%)
2024年12月期予想:売上高 約138億円(前年比+4.5%予想)
➡️ コロナ禍の影響を大きく受けた2020~2021年を経て、2022年以降は回復基調が鮮明。
【営業利益の推移】
2022年12月期:営業利益 約15億円(営業利益率12.0%)
2023年12月期:営業利益 約16.3億円(営業利益率12.4%)
➡️ 安定的な収益構造が継続しており、特にフランチャイズ収入比率が高いため固定費負担が軽いビジネスモデルが特徴。
【純利益】
2022年12月期:純利益 約9億円
2023年12月期:純利益 約9.8億円(+8.9%)
➡️ 国内消費回復と外食需要の改善を受けて純利益も増益基調。
【店舗数推移】
2023年末時点で 約1,140店舗(直営+フランチャイズ)
新規出店・閉店による若干の入れ替えはあるものの、全体では堅調に横ばいから微増基調。
【業績の特徴】
高い営業利益率:固定費の軽いFC主体モデル。
リピーター比率の高さ:ブランド力の高さが強み。
季節要因に左右される傾向:夏季がピーク、秋冬に売上落ち込む。
第3章 財務状況
B-R サーティワンアイスクリーム(2268)は、フランチャイズ主体の軽資産モデルを基盤に堅実な財務体質を維持しています。本章では、財務健全性や資金効率、資本構造を多角的に分析します。
【自己資本比率】
直近の自己資本比率は 約70%超 と非常に高水準。
借入依存度が低く、安定した資本構造。
【有利子負債の状況】
有利子負債はほぼゼロ水準。
高いキャッシュポジションにより金利負担リスクがほとんど存在しない。
【現預金の状況】
営業活動による安定したキャッシュフローの蓄積により、必要運転資金を十分にカバー。
現預金残高は総資産の約30%以上を占める。
【営業キャッシュフロー】
直近の営業キャッシュフローも黒字を維持。
フランチャイズ収入の安定性に支えられ、季節変動があっても通年でプラス。
【財務構造の特徴】
固定費負担が軽く、事業資産もシンプル。
設備投資負担も少なく、店舗投資の多くは加盟店側が負担。
【財務課題】
資金余剰状態の有効活用が課題。
→ 成長投資、新規サービス、海外展開など投資機会の模索が必要。
第4章 社長人物
B-R サーティワンアイスクリーム株式会社(2268)の代表取締役会長兼社長CEOは ジョン・キム氏。
グローバルな経営視野と現場感覚を併せ持つ人物であり、日本市場における「サーティワン」の成長を牽引しています。
【経歴】
ジョン・キム氏は米国バスキン・ロビンスのグローバル幹部として活躍後、
日本市場の成長可能性に着目し、経営トップとして招聘されました。
国際的な食品・外食ブランド運営に精通し、特にアジア市場での経験が豊富。
【経営スタイル】
「ブランド体験重視」と「現場主義」を徹底。
→ 日本国内の消費者ニーズに合わせた限定商品・販促企画を積極導入。
→ フランチャイズオーナーとの強いパートナーシップを重視し、現場支援を充実。
【人物像】
穏やかな語り口で従業員・加盟店の信頼が厚い。
外食業界のトレンド把握力に優れ、「体験型・参加型」の新しい小売サービスを打ち出す発想力がある。
国内外のマーケットを冷静に分析し、特に若年層・ファミリー層へのブランド訴求を重視。
【現在の課題認識】
ジョン・キム氏は「国内市場の成熟」「人件費高騰」「消費者ニーズの多様化」を課題として明確に認識。
「デジタル活用」「店舗運営効率化」「ブランド体験価値向上」を中期施策として推進中。
第5章 株主状況
B-R サーティワンアイスクリーム(2268)の株主構成は、創業以来の経緯を反映し、国内外の大手企業・機関投資家・一般投資家から成り立っています。本章では株主構造の特徴と安定性を分析します。
【筆頭株主】
不二家株式会社 が筆頭株主として支配的立場を保持。
→ 1973年の設立当初からの合弁パートナーであり、現在も議決権過半数を実質的に確保。
【親会社との関係】
米国バスキン・ロビンス(Baskin Robbins LLC) とのライセンス契約・商標権契約も維持。
これにより国内ブランド価値を支える一方、安定した商標利用料が発生。
【機関投資家・信託銀行】
株主名簿上には国内大手信託銀行名義(日本マスタートラスト信託銀行、三井住友信託銀行など)が登場。
→ 運用目的での保有が中心であり、短期売買には不向きな「安定株主層」。
【外国人投資家】
外国人投資家比率は一定程度存在するものの、低水準。
→ 国内消費関連・小型銘柄という特徴からグローバルポートフォリオにはあまり組み込まれていない。
【浮動株比率】
上場株式数に対する浮動株比率は比較的低い。
→ 不二家・信託銀行などの長期保有株主により安定性が高い反面、流動性はやや限定的。
【株主構造の特徴まとめ】
筆頭株主:不二家による支配力が強固。
安定株主比率が高く、敵対的買収リスクなどは限定的。
浮動株が少なく、株価形成は需給要因に左右されやすい。
第6章 中長期経営戦略
B-R サーティワンアイスクリーム(2268)は、成熟市場の中で持続的成長を追求するため、独自ブランドの強みを活かした戦略を描いています。本章では、同社の中長期ビジョンと注力領域を整理します。
【戦略① ブランド価値向上】
「31 Flavors」という多彩なフレーバー展開を進化させ、季節・イベントに連動した期間限定商品を強化。
消費者が「サーティワンならではの体験」を楽しめる店舗づくりを推進。
ブランドロイヤルティのさらなる強化を目指す。
【戦略② 国内店舗ネットワークの質的改善】
店舗のスクラップアンドビルドを計画的に実施。
新しい立地・新しいコンセプトの店舗開発に取り組み、若年層やファミリー層への訴求を強化。
【戦略③ デジタル活用とDX化推進】
スマホアプリの利用拡大、オンラインオーダーシステムの強化。
キャッシュレス対応やデータ活用による顧客利便性・店舗オペレーション効率向上。
【戦略④ 新しい販売チャネルの開拓】
商業施設内やイベント・催事向けのポップアップストア展開。
小売店向けのアイスクリーム商品の卸売・ECチャネル強化。
【戦略⑤ ESG経営の推進】
環境負荷の少ない包装資材の採用。
社会貢献活動(地域イベント、子ども支援活動など)への参画。
フランチャイズオーナー支援体制の充実と働き方改革。
【経営目標】
直営・FC合わせて店舗数の横ばい維持+既存店売上高の改善。
営業利益率12%以上を持続的に確保。
安定配当の継続(配当性向50%前後を目安に)。
第7章 株価現況と見通し
B-R サーティワンアイスクリーム(2268)の株価は、2024年から2025年にかけて底堅い推移を見せていますが、低流動性ゆえの値動きの特徴や投資家の関心ポイントが見えてきています。本章では、現状と今後の見通しを整理します。
【現況】
2025年7月中旬時点での株価は 4,175円前後(前日比−60円)。
株価水準は過去数年間にわたって4,000円台を中心としたレンジで推移。
浮動株比率が低いため、流動性は限定的。小口売買でも株価変動が大きくなる特性がある。
【配当利回り・バリュエーション】
直近予想配当利回りは約3%前後。
PERは20倍台で妥当水準と評価可能。安定配当銘柄として一定の支持あり。
【需給要因】
筆頭株主・安定株主の持分比率が高いため、市場流通株式数が少なく需給のひっ迫感あり。
IPO株やテーマ株と異なり短期資金の流入は少ないが、長期保有層には安定株として認知されている。
【株価見通し】
�� 短期見通し
夏季シーズン需要で既存店売上増加が想定され、一定の安心感あり。
ただし、大きなトレンド上昇は期待しにくく、4,000円台のレンジ内での推移が基本シナリオ。
�� 中期見通し
ブランド力・安定配当・高い財務健全性が評価され、中長期保有層が増えればじわりと株価下支え。
4,200〜4,500円を中期ターゲットレンジと想定。
�� 長期見通し
成長率の大幅加速は期待しにくいが、景気変動耐性・ブランド価値の高さにより、長期安定資産としては評価可能。
第8章 ライバル企業
B-R サーティワンアイスクリーム(2268)は日本におけるアイスクリーム専門チェーンのリーディングブランドですが、業界全体としては多様な競合が存在します。本章では、主な競合と競争環境を分析します。
【ライバル① ハーゲンダッツジャパン】
強力なブランド力と高価格帯ポジション。
小売店(スーパー・コンビニ)での販売を中心に展開するため、店舗業態ではなく、
家庭用消費で競合。
【ライバル② コンビニエンスストア各社】
セブンイレブン、ファミリーマート、ローソンなど。
プライベートブランド(PB)アイスや期間限定商品で差別化。
圧倒的な立地の利便性・顧客接点数で競合。
【ライバル③ ドトール、スターバックスなどのカフェチェーン】
アイスクリーム単品では競合しないが、“デザート体験”のシェアを争う構造。
若年層・女性客のデザート需要を取り合う。
【ライバル④ コールドストーンクリーマリー】
アイス専門チェーン。
店舗内オペレーション(アイスのミックスなど)で差別化。
規模ではB-R サーティワンが圧倒的優位。
【業界競争の特徴】
アイスクリーム市場全体は成熟市場だが、季節性・嗜好品性により強いブランドロイヤルティが生きる。
B-R サーティワンは“来店体験”と“選べる楽しさ”を前面に出し、ファミリー層・若年層を取り込むポジション。
第9章 買いか売りか投資判断
B-R サーティワンアイスクリーム(2268)は、安定したビジネスモデルと高いブランド価値を背景に、個人投資家から長期安定株として一定の支持を集めています。本章では短期・中期・長期の投資スタンスを分析し、投資判断をまとめます。
【短期投資判断】
✅ 様子見推奨
株価は4,000円台前半で比較的安定しているが、流動性が低く、短期売買には不向き。
季節要因(夏場の売上ピーク)に左右される値動きの可能性あり。
【中期投資判断】
�� 押し目買い検討
ブランド力・顧客基盤の強さ、安定したフランチャイズ収入により中期的に下値は限定的。
国内消費安定局面では4,200円台への緩やかな回復を期待できる。
【長期投資判断】
�� 「安定配当株」として長期保有に適す
自己資本比率70%以上・有利子負債ほぼゼロという財務健全性。
営業利益率12%超を安定的に維持するビジネスモデル。
配当性向は高く、直近の予想利回り3%前後と魅力あり。
【総合結論】
短期:様子見(値動き限定的・流動性低め)。
中期:業績確認後に押し目買い。
長期:配当狙い・ポートフォリオの安定資産として保有検討。
��あとがき
最後までお読みいただきありがとうございました。
B-R サーティワンアイスクリームは、日本人にとって「特別な日のお楽しみ」というポジションを築いてきた企業です。
成熟市場にありながら、安定した利益体質と高い配当性向を維持し、長期保有に適した特性を持っています。
本書を通じて、読者の皆さまが冷静に企業価値を評価し、戦略的に投資を行うためのヒントを得ていただけたなら幸いです。
今後も日本の消費関連銘柄への正しい理解が、投資パフォーマンスの向上につながることを願っています。
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