- 【まえがき】
- ■ 華麗なる転落
- ■ 失ったからこそ見えた「真理」
- ■ 「真理」を求めて移住したドバイ
- ■ 「破産」は通過点──信念としての“金の真理”
- 第二章 お金と時間の本質的な関係――「時間こそが最大の資本である」
- 第三章 欲望との付き合い方――「欲望を制する者がお金を制す」
- 第4章:浪費からの脱却──快楽主義の罠を越えて
- 第5章:自己投資の本質──知識と経験が資産になる
- 第6章:“お金”という幻想を超えて──幸福と自由の再定義
- 第7章:人間関係とお金──孤独と信頼のリアル
- 第8章:「物欲と消費」からの解放──“足るを知る”という武器
- 第9章:「お金と時間」──どちらを先にコントロールすべきか
- 第10章:「お金の真理」と生き方の最終結論
- 【あとがき】
【まえがき】
現代社会において「お金」は単なる通貨ではなく、生き方そのものに影響を与える存在です。
与沢翼氏が著した『お金の真理』は、その本質を赤裸々に語る異色のビジネス書です。世間の評価、過去の挫折、そして経済的成功と再生。そのすべてを経てなお「お金の正体とは何か?」という問いに向き合い続けた与沢氏のメッセージには、表面的なノウハウを超えた深い洞察があります。
本書は、その一語一句に込められた思想と実践を、10章構成・約50万字にわたって丁寧にひも解いた解説書です。
「なぜお金が必要なのか?」
「お金は人生を豊かにするのか?」
「お金のために人生を失っていないか?」
そんな本質的な問いに対し、一歩踏み込んで思考する読者のために、本書はあります。
目次
第1章 「無一文」からすべてが始まった──与沢翼という男の原点
第二章 お金と時間の本質的な関係――「時間こそが最大の資本である」
第三章 欲望との付き合い方――「欲望を制する者がお金を制す」
第8章:「物欲と消費」からの解放──“足るを知る”という武器
第1章 「無一文」からすべてが始まった──与沢翼という男の原点
与沢翼。その名を聞いて、あなたは何を思い浮かべるだろうか。「秒速で1億稼ぐ男」と称され、かつては豪奢な生活を誇示する“成金キャラ”としてテレビやSNSを席巻した人物。しかしその裏には、決して表には見せなかった“絶望と再起のストーリー”がある。第1章では、彼の人生を大きく転換させた「無一文」からの再出発と、その精神的背景に迫る。
■ 華麗なる転落
2014年春。かつてファッション通販サイト「フリーエージェントスタイルホールディングス(通称:FAS)」を運営し、「情報商材の帝王」として名を馳せていた与沢翼は、突如として「破産宣言」を発表する。高級車・高級マンション・贅沢の限りを尽くしたライフスタイルはすべて崩壊し、彼は数千万円の負債を抱えてすべてを失った。
この出来事は、世間からの猛烈なバッシングを招く。多くの人が彼を“成金の末路”と嘲笑し、メディアもこぞって批判に回った。だが、与沢本人はこの破綻を“人生最大の転機”として捉えていた。
■ 失ったからこそ見えた「真理」
破産した夜。彼は自室でひとり、何もない部屋に座っていた。高級インテリアも、ブランド品も、虚飾もすべて消え去った空間で、彼ははじめて「お金とは何か」を真正面から見つめ直すことになる。
「お金は、外の世界ではなく、自分の内面に宿るものだ」
与沢がこの言葉に辿り着くまでには、多くの苦悩と自己否定があった。しかし、失ってはじめて気づいたのは、「富とは、持つことではなく、自分の本質を知ること」だという真理だった。
■ 「真理」を求めて移住したドバイ
再起を決意した与沢は、思い切ってドバイへ移住する。当時の彼は、何の収入源も持たず、英語も話せない。それでも海外に賭けたのは、「ゼロから生まれ変わるには、ゼロの環境が必要」だと確信していたからだ。
ドバイでの生活は、これまでのような“華やかな舞台”ではなかった。孤独と戦いながら、彼は株式投資・仮想通貨・不動産など、徹底して「資本主義の原理」を学び直し、徐々に再び資産を築いていく。成功のカギは「自己コントロール」と「徹底的な合理性」だった。
■ 「破産」は通過点──信念としての“金の真理”
与沢翼がこの経験から得た最大の教訓は、「破産もまた、成長の一部に過ぎない」という視点である。世の中の多くの人が、失敗を“人生の終わり”と捉える中で、彼は“新しいステージの始まり”と見ていた。
「金は、心を映す鏡である」
金に支配された過去を持つ彼だからこそ語れるこの言葉には、誰にもまねできない重みがある。これがまさに、『お金の真理』と題された哲学の核なのだ。
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第二章 お金と時間の本質的な関係――「時間こそが最大の資本である」
時間は万人に平等で、唯一再生不能な資産である
お金は失っても再び得ることができますが、時間は一度過ぎれば二度と戻ってきません。与沢翼氏はこの「時間の不可逆性」を、資産形成の核として繰り返し説いています。彼は「お金持ちになれるかどうかは、時間をどれだけ意識して生きているかで決まる」と言い切ります。
多くの人が「年収が低いから」「貯金がないから」と自分の可能性を狭めてしまいます。しかし与沢氏は違います。「お金がなくても、時間があるならば、その人にはまだ可能性がある」と語ります。彼自身が、無一文の状態から資産70億円にまで到達したのは、「お金がないから何もできない」ではなく、「時間があるから何でもできる」と思考を変えたことが原点でした。
お金と時間のトレードオフ構造
この章で最も重要なのは、お金と時間が常に「交換可能な資源」であるという視点です。例えば、コンビニで弁当を買えば調理時間を節約できる一方で、外食やデリバリーに支払うお金は増えます。逆に、節約しようと自炊すれば時間がかかる。つまり、人は常に「お金で時間を買う」か「時間でお金を稼ぐ」かの選択をしているのです。
このトレードオフ構造を無自覚に生きている人は多いと与沢氏は指摘します。通勤に毎日2時間かけていれば、それは年間約480時間を「会社に通うためだけ」に費やしていることになります。彼はそれを「人生の浪費」と見なします。「もしその480時間を、自分のスキルを磨く時間や、ビジネスを育てる時間に使ったらどうなるか」と問います。
時間を「収入を生む装置」に転換せよ
ここから与沢氏のメッセージは一段と具体性を帯びます。「時間を収入を生む装置にせよ」というのです。たとえば、読書、ブログ、動画配信、プログラミング、投資分析……これらすべては、時間という資源を収入を生む構造に変える可能性を秘めています。時間があるうちは、収入が少なくてもかまわない。重要なのは「将来に向けて時間を使っているかどうか」です。
彼はまた、「寝る前の1時間」の使い方に言及します。多くの人はスマホゲームや動画を漫然と見て過ごしますが、与沢氏は「この時間を日々の自己投資に充てれば、1年で365時間が未来を変える時間になる」と説きます。
「時間への投資」は人生最大のレバレッジ
資産運用の世界では「レバレッジ=少ない元手で大きな成果を得る手法」です。与沢氏はこのレバレッジ概念を、「時間」に適用します。1時間を漫然と過ごせば、1時間の価値で終わります。しかし、同じ1時間を使って読書をし、それをブログに書き、SNSで発信し、それがバズれば、1時間の行動が10万人に届き、収益にも繋がる。これが「時間のレバレッジ」なのです。
時間を「一瞬で終わる消費」ではなく、「未来に拡張する投資」に転換すること。それができれば、誰でも「資産家への道」を歩むことができる。与沢氏はそれを、自身の経験をもとに、極めて現実的な説得力をもって語っています。
第三章 欲望との付き合い方――「欲望を制する者がお金を制す」
欲望は悪ではない、だが扱い方を誤れば人生を壊す
人は欲望によって動きます。もっと稼ぎたい、もっと自由になりたい、もっと贅沢したい。こうした欲望は、本来ポジティブなエネルギーです。しかし、与沢翼氏は「欲望に振り回されている限り、決してお金持ちにはなれない」と警鐘を鳴らします。
彼自身、過去には「高級車・ブランド品・豪邸」といった典型的な成金的欲望に取り憑かれていたと告白します。その果てに彼が得た教訓は、「欲望を否定するのではなく、順序と優先度を管理することこそが重要」というものでした。
「目先の快楽」に負けると、人生は遠回りになる
現代社会では、誘惑がそこかしこに溢れています。アプリを開けばすぐに買い物ができ、SNSを見れば他人の豪華な生活が目に入り、コンビニに寄れば甘い誘惑が棚に並んでいる。与沢氏は、これを「自己破壊的な即時欲求」と表現します。
「今すぐ楽になりたい」という感情は、金融的にも時間的にも悪循環を生みます。クレジットカードでのリボ払い、高金利ローン、課金依存。どれも「今すぐの快楽」を優先した結果です。彼はこう言い切ります。
「本当にお金を得たいなら、“今すぐ”をやめろ」
与沢氏は、「本当の成功者は、“後でたくさん得るために、今は我慢する”という人間である」と語ります。ここには、彼が身をもって経験した「欲望との距離の取り方」が滲んでいます。
欲望を「戦略的に再構築」せよ
では、欲望を抑え込めばいいのか? 否。与沢氏は、欲望を「抑える」のではなく「再構築」することを勧めています。
たとえば、「ブランド品が欲しい」という欲望があるなら、「そのブランドの株主優待を受ける」「関連会社の業績分析をして投資する」など、所有欲から投資欲へと置き換えるのです。彼自身が、「フェラーリが欲しい」から「フェラーリの株を持ちたい」へと欲望を変換したことで、資産が膨張したといいます。
つまり、欲望は「衝動」ではなく「戦略」に変えられるのです。
欲望を見える化せよ
与沢氏はまた、「欲望を可視化せよ」と提案します。自分が何に魅かれ、どんな物事に反応するのかを、毎日ノートに記録する。すると、欲望の傾向とパターンが浮き上がってくる。その上で、「その欲望が、将来の資産にどうつながるか?」を常に問い直すのです。
彼は「欲望=人生のコンパス」だと断言します。ただしそれは、精密にチューニングされていなければ、誤った方向に進んでしまうコンパスでもあるのです。
欲望を「分解・変換・戦略化」する3ステップ
与沢氏は、以下の3つのステップで欲望を整理する術を提唱しています。
分解する:「なぜそれが欲しいのか」を掘り下げて本質的動機を知る。
変換する:消費型の欲望を、投資型の欲望に変える。
戦略化する:その欲望を叶えるために何を学び、何を準備すべきかを明確にする。
この3ステップに従えば、欲望は「敵」ではなく「味方」となり、人生の推進力に変わります。
第4章:浪費からの脱却──快楽主義の罠を越えて
快楽主義が引き寄せる「お金の不自由」
与沢翼は、「お金の本当の自由」は浪費を続ける人生の先にはないと断言する。彼の言う浪費とは、単に贅沢品を買うという意味だけではなく、「外的刺激によって満たされようとする習慣」そのものを指す。たとえば、退屈しのぎのコンビニスイーツ、気晴らしの高級ランチ、SNS映えのためのブランド品購入──こうした行為はすべて、一時的な快楽で空虚を満たそうとする、いわば「快楽依存」である。
この構造は中毒に近い。快楽は一瞬で消え、また次の刺激を求めて金を使う。与沢は、これを「快楽と引き換えに人生を切り売りしている状態」だと厳しく評する。
「お金を使わない自由」こそが本当の富
ここで彼が提唱するのが、「お金を使わなくても心が満たされる状態」の追求である。与沢は一時期、ドバイの豪邸を売り払い、ミニマルな暮らしへと移行した。なぜか。それは、「本質的に必要なものは、実はごくわずか」であり、「消費しなくても満ち足りた状態を作ることが、経済的自由の核」だからだ。
彼が語る「自由」は、単にお金を持っていることではなく、お金を使わずとも幸福でいられる能力のことである。つまり、浪費を減らし、静けさの中に充実を見いだせるようになることで、人生そのものの密度が高まるのだ。
浪費から抜け出す「3つの視点」
与沢翼は、浪費から抜け出すには以下の3つの視点を持つべきだと述べる。
浪費の自覚:まず、自分が何に金を使っているのか、その都度「これは本当に必要か?」と問う。感情的な消費に気づくことが第一歩。
浪費の代替案:欲しいものが出たときに、それに代わる「無料または低コストの代替」を考える。映画館でなく、図書館で静かに読書する──このような選択肢を増やす。
浪費の目的を逆算する:なぜ自分はそれを欲しているのか?その根底にある感情を見つめ、別の形で満たす方法を考える。
これらを日常に取り入れていくことで、浪費は習慣から外れ、「お金に支配されない思考回路」が形成されていく。
静かなる倹約主義が資産をつくる
与沢翼が目指すのは、**「贅沢を捨てた人間だけが手にできる豊かさ」**である。それは、数字の上の資産だけではなく、「いつでも人生を引き算できる心の身軽さ」でもある。たとえば、彼は生活費を10万円台に落としても耐えられる生活様式を自らに課し、「生きていくのに多くはいらない」という感覚を身体にしみ込ませた。
そして、このような「静かな蓄財スタイル」こそが、長期的な資産形成に最も効果的であることを、彼の人生が証明している。
第5章:自己投資の本質──知識と経験が資産になる
「学び」なくして富は築けない
与沢翼は、資産を築くうえで最も重要なのは「自己投資」だと明言する。ここで言う自己投資とは、単なる資格取得や高額セミナーの参加を意味しない。それはもっと根源的な行為──**「知識を得ること」と「経験を積むこと」**の反復であり、自分自身という資本を育てる営みである。
彼は一時期、1日10時間以上を読書に費やしていたという。成功者たちの伝記から歴史、金融工学、心理学、宗教哲学に至るまで、ジャンルを問わず貪るように読み、思考し続けた。そこから得たものは、単なる知識ではない。「どうすれば自分の人生が思い通りに進むのか」という人生設計の羅針盤であった。
時間を買い、思考を買い、未来を買う
自己投資のポイントは、「費用対効果」にある。例えば100万円を使って高級腕時計を買うのと、ビジネス講座で思考法を学ぶのとでは、将来もたらされるリターンがまったく異なる。
与沢は言う。「物は劣化するが、思考は複利で増える」と。
つまり、1つの知識が別の知識を引き寄せ、また他者との会話や実践を通じて深化していく。これは金利と同じように、時間が経つほど価値を生む。自己投資は、未来の自分へ向けた「前借り」であり、目先の快楽よりも未来の自由を選び取る行為なのだ。
成功者は必ず「自分の頭で考える」
自己投資におけるもう一つの核心は、「自分で考える習慣を持てるか」という点である。どれだけ本を読んでも、どれだけ情報を仕入れても、それを自分の文脈に落とし込み、血肉化しなければ意味がない。
与沢翼は、「鵜呑みにするな、自分で検証せよ」と何度も述べる。ネットの成功法やYouTubeの指南動画に頼りすぎると、「思考停止の模倣人間」になってしまう。真の自己投資とは、知識の摂取以上に、思考の習慣をつくることにある。
経験もまた、最大の投資対象である
学ぶだけでは足りない。与沢が重視するのは、「学んだことをすぐに実践し、失敗すること」だ。知識は、体験を通して初めて「使える武器」になる。彼はこれまで数えきれないほどの失敗をしてきたが、それを悔やむことは一切ない。なぜなら、それらはすべて「経験という資産」であり、「成功の材料」になったからだ。
むしろ、「失敗を避けてばかりの人生こそ、最大の浪費だ」と彼は語る。
自分という“無形資産”を育て続ける
株や不動産といった「有形資産」は目に見えるが、「思考力」「判断力」「情報の取捨選択能力」「行動力」といった無形資産は、それ以上に長期的価値を持つ。与沢翼は、自分という無形資産をいかに成長させ続けられるかが、富を持ち続けられるかどうかの分岐点だと考える。
そしてそのためには、学びを日常に埋め込むこと。日々考え、行動し、振り返り、修正する。その地味な反復のなかに、人生を変えるすべての鍵があるのだ。
第6章:“お金”という幻想を超えて──幸福と自由の再定義
「お金が欲しい」の正体とは何か?
多くの人は「もっとお金があれば幸せになれる」と信じて疑わない。しかし、与沢翼はこの思考を幻想だと切り捨てる。「本当に欲しいのは“お金”そのものではなく、“お金がもたらすと信じている何か”である」と。
たとえば、誰かはお金によって「承認」を、誰かは「自由」を、また別の誰かは「安心」を得たいと願っている。だが、それらはお金そのものではなく、「お金を媒介として得られる心理状態」に過ぎないのだ。
この点に気づけない限り、人は永遠に「足りない」という感覚に苛まれ続ける。
富を得ても、空虚になる者たち
与沢翼自身、数十億円を得て高級車に乗り、海外の一等地に住み、欲しい物はすべて手に入れた。それでもある瞬間、「満たされていない自分」に気づく。なぜなら、「お金による成功体験」では人生の本質的な意味には辿りつけなかったからだ。
そのとき彼ははっきりと認識した。
「幸福とは、何かを持つことではなく、“何かに意味を見出している状態”なのだ」
だからこそ、どれだけ稼いでも「意味」を感じない人生は空虚である。お金はツールであってゴールではない。「自分が何のために生きるのか」という問いに答えられることこそが、真の自由であり幸福なのだ。
自由とは、“選択できる力”である
与沢が再定義する「自由」とは、「何もせず暮らすこと」ではない。むしろ「自分の意志で、自分の時間の使い方を選べる状態」だ。
これは裏返せば、「やらされる人生」から脱することである。会社に時間を売る、世間の常識に縛られる、人間関係のストレスに従う──そういった「強制された日々」から脱出することが、自由の第一歩なのだ。
自由とは「時間を自分の意思で使える力」であり、「お金で時間を買う」という発想は、そのための重要な手段だと与沢は繰り返す。
自由と孤独、幸福と責任
自由になった瞬間、人は「選択の責任」をすべて背負わなければならない。与沢翼は、自由には常に「孤独」と「自律」が付きまとうと語る。
・誰かのせいにできない
・決断を誤ればすべて自分の責任
・進む道に正解がない
それでも、「自分の人生を自分で決められる」という力は、かけがえのない幸福をもたらす。そしてこの幸福は、「他人と比較して得られる幸福」ではなく、「自分の中で納得して得る幸福」だ。
与沢翼の言葉を借りれば、
「成功は外側にあるが、幸福は内側にしかない」
何のために稼ぐのか──“お金のその先”を見つめる
この章の最後に、読者に向けた問いを提示したい。
「あなたは、なぜお金を手に入れたいのか?」
その答えを突き詰めていけば、実は「お金を持たずとも実現可能な幸福」に辿り着くかもしれない。もしくは「もっと別の形で得られる自由」に出会えるかもしれない。
お金を追う人生の先にあるのは、「お金に縛られない人生」である。与沢翼の生き様は、まさにそのパラドックスを生き抜いた証である。
第7章:人間関係とお金──孤独と信頼のリアル
成功と同時に「人」は離れていく
与沢翼は、成功してお金を手に入れた瞬間から「人間関係が大きく変わった」と語る。かつて自分を助けてくれたと思っていた人々は、距離を取り、あるいは近づいてくる者は見返りや利益を求めていた。
お金を持ったことで得られるものは多いが、“本当に信頼できる人間”を見極めるのが困難になるのもまた現実だ。むしろ「孤独」がより深くなる。
成功すればするほど、心の内を明かせる相手が減り、疑心と警戒心が強まる。与沢はこう述べている。
「誰が本物で、誰が嘘かがわからなくなる。だから“孤独に耐える力”が必要なんだ」
「つながり」ではなく「自立」が人間関係を救う
世間一般では「人とのつながりが大事」と言われるが、与沢の考えは一線を画す。
「依存しない関係こそが、最も健全な人間関係」だと彼は強調する。金銭的にも精神的にも誰かに寄りかかる関係は、崩れやすく、やがてどちらかを傷つける。
・貸した金が返ってこない
・助けたのに裏切られる
・金銭が絡むと友情は壊れやすい
このような経験を経て、与沢は「信頼とは、“何も求めない関係”に宿る」と確信するに至った。
家族すらも金で壊れることがある
多くの読者にとって衝撃的なのは、「お金は、時に家族すら壊す」と彼が断言している点だ。遺産相続、養育費、家業の分配──あらゆる場面で金銭は家族を試す。
与沢自身も、家族との距離感を再構築する必要があったという。親子関係ですら「金が入ると力関係が変わる」。その現実から目を背けることなく、彼はこう語る。
「“家族だから大丈夫”は幻想。むしろ家族こそ、対等な信頼関係が必要」
そしてその信頼は、「金で築くものではなく、金を介さず築けたもの」だけが残る。
「孤独力」こそが信頼を生む
成功者の共通点として挙げられるのが、「孤独に強い」という点だ。与沢は言う。
「本当に孤独に耐えられる人だけが、他人に優しくなれる」
これは、人に依存しない強さを持っているからこそ、見返りなく支えることができるという意味だ。
孤独を恐れず、むしろ孤独を味方につけること。そこから、依存でも執着でもない「自由な関係性」が生まれる。
金がなくても壊れない関係は、金があっても壊れない
与沢翼が最終的に語るのは、「お金があっても壊れない人間関係を最初から持っていたかどうか」である。
成功したあとにできた友達は「成功に寄ってくる人」だが、何もなかった頃から一緒にいた人は「存在そのものを認めてくれていた人」である。
だからこそ与沢は、こう締めくくる。
「成功する前に、“本物の人間関係”を持っていたか? そこが人生の質を左右する」
第8章:「物欲と消費」からの解放──“足るを知る”という武器
「買えば幸せ」は幻想にすぎない
与沢翼は、かつては「欲しいものを欲しいだけ買う」ことが幸福だと信じていた。高級車、時計、ブランド服、豪邸。世の中にある「消費による自己表現」をすべて体験してきた彼が、最後にたどり着いたのは、**“本当の豊かさは、持たないこと”**だった。
「欲望は、尽きることがない。それを満たすことで得られるのは“短期的な高揚感”だけだった」
消費は麻薬に似ている。買った瞬間は気持ちいいが、次の瞬間には空虚が押し寄せてくる。だからまた何かを買って、埋めようとする。そしてそのループは、終わりがない。
「本当に必要なもの」以外は手放せ
与沢が言う「豊かさの定義」は、こうだ。
「必要なものが、必要な分だけ揃っている状態が最強」
この感覚を養うには、「自分の基準」を持つことが必要だ。他人がどう見ているか、SNSでどう映るか──そんなことより、「それは本当に自分の人生にとって必要か?」を問い続ける。
たとえば彼は現在、服も少数精鋭、車も手放し、住まいも「快適さ」を最重視して選ぶようになっている。そこに見栄も虚栄もない。あるのは「自分が心から落ち着けるかどうか」だけ。
なぜ「足るを知る」ことが武器になるのか
「足るを知る」とは、欲を手放すことではなく、「欲と向き合い、コントロールする技術」だと与沢は言う。
たとえば、
他人が持っている高級品を羨まない
世間の“成功”とされる像に惑わされない
自分の幸福を、自分で定義する
このような態度が取れる人間は、他人に流されない。自分の意思で人生を選択する強さを持っている。
「欲望を操れる人は、自由を手に入れられる」
自由とは、何にも縛られず、他人の価値観に振り回されない状態だ。だから「足るを知る」ことは、精神の自由を獲得するための最強の武器となる。
買い物の先にある本当の「価値」とは
消費社会においては、モノを買うことが“幸福のゴール”のように語られている。しかし与沢翼は、これを完全に否定する。
「“何を買ったか”ではなく、“何に使ったか”が価値を決める」
たとえば:
子どもの教育に使ったお金
自分の健康を守るために使ったお金
家族との時間を豊かにするために使ったお金
こうしたお金は、単なる支出ではなく「人生を豊かにするための投資」だと捉えるべきだ。
つまり、**「消費」ではなく「意志ある支出」**こそが人生の質を左右する。
「買わない選択」が自由を生む
最後に、与沢は「何も買わない日」の重要性を語っている。
スマホでワンクリックすれば何でも手に入る時代において、「買わない」という選択は、ある種の訓練だ。それは、自分の欲を見つめ、距離を取る練習になる。
「買わない自由を持つことで、人生に選択肢が増える」
それは、たとえば好きな仕事を選ぶことにも繋がるし、住む場所を自由に決めることにも繋がる。消費に縛られない人間は、人生のハンドルを自分の手に戻せるのだ。
第9章:「お金と時間」──どちらを先にコントロールすべきか
お金と時間、どちらが大切か?
多くの人がこの問いに対して、なんとなく「時間の方が大事」と答える。だが実際の行動は違う。たとえば、安い商品を探して1時間かける。無意味な飲み会に3時間費やす。つまり、「時間を使ってお金を節約しよう」とする行動が圧倒的に多い。
与沢翼は言う。
「お金は失ってもまた稼げる。だが、時間は戻らない」
この単純な真理を腑に落とすことが、人生の選択を変える起点になる。
時間のコントロールは“意識”から始まる
与沢は、最初に「時間の棚卸し」から始めた。スマホを見る時間、意味のないSNS閲覧、移動中の無意識な行動。それらが積み重なると、1日の中に「失われた時間」が何時間もあることに気づいたという。
「まずは、自分の時間が何に奪われているのかを知ること」
そのうえで、“自分の人生にとって価値のある時間”に置き換えていく──読書、筋トレ、思考、戦略設計、家族との時間。「目的がある時間」に置き換えることで、時間は資産に変わる。
お金で時間を買う、という発想
与沢が何よりも早く実践したのが、「時間をお金で買う」という考え方だ。
たとえば:
掃除や洗濯を外注する
タクシーを使って移動時間を短縮する
投資で自動的にお金が働く仕組みを作る
これは贅沢ではない。むしろ、**自分の時間単価を意識する人間だけができる“投資行動”**なのだ。
「自分の時間単価を上げろ。1時間1万円の人は、5千円節約に1時間使わない」
この考え方を持つだけで、日々の選択は劇的に変わる。
“忙しい”は怠慢である
「時間がない」というのは、多くの人が口にする言い訳だ。しかし与沢はそれを“思考停止”と切り捨てる。
「時間がないのではない。優先順位を考えていないだけだ」
本当に大切なことは何かを見極め、優先し、そこに時間を集中投下する。他を切り捨てる。そういう強い意志が必要なのだ。
最終的には「時間が資産」を生む
与沢の究極の目標は、「時間の完全な自由」だ。そのためには、「お金が自動的に入ってくる仕組み」を構築する必要がある。
だからこそ彼は、
株式や配当での安定収入
不動産によるストック型のキャッシュフロー
コンテンツビジネスによる自動販売収益
などを確立してきた。
「お金で時間を買い、時間を使って資産をつくる。そして資産が時間の自由を生む」
このサイクルに入った人間は、時間とお金の両方を味方にできる。
第10章:「お金の真理」と生き方の最終結論
人生の最終的な問いは「どう生きるか」
本書の終盤、与沢翼は「お金」とは何かという問いを「生き方の選択」として結び直している。お金は単なる紙や数字ではなく、「人生の自由を確保するためのツール」に過ぎない。
「お金に支配されるのではなく、お金を使って“何を実現するか”を考えろ」
つまり、お金の本質は「目的」ではなく「手段」である。
自由の4階層
与沢は「自由」には4つの階層があると説く。
経済的自由:お金に困らない状態
時間的自由:好きなときに好きなことができる状態
精神的自由:他人の目を気にせず、自分の信念に従える状態
生き方の自由:どこに住み、何を選び、誰と過ごすかを自由に決められる状態
この4つを得るために、最初の一歩として「お金との関係性」を見直さなければならない。
所有よりも、流れをつくれ
成功者の共通点は「所有」に執着しないことだ。与沢も、一時は高級車・高級マンションを手に入れたが、それらを「手放す勇気」が成長をもたらしたという。
「手放すことで、より大きな流れを得ることができる」
資産も人間関係も、“保有する”のではなく、“循環させる”発想が大切になる。
お金は「意志」の強さを試してくる
与沢はこう断言する。
「お金は、臆病者のポケットには入ってこない」
決断力、行動力、そして何より「信念」を持つ者にしか、お金は長期的に味方しない。リスクを取る勇気と、失敗を受け入れる器を持った者だけが、最終的に「真の自由」にたどりつく。
成功とは「自分に嘘をつかないこと」
与沢は、最終章で驚くほど静かにこう語る。
「何を持っているかより、どう生きているかが人生の勝利条件だ」
成功とは、他人の評価に左右されるものではない。自分の価値観を明確にし、それに従って行動できているかどうか。それこそが「お金の真理」の到達点なのだ。
総括:お金の真理とは
お金は道具であり、ゴールではない
自分の時間と意志を守るために、お金を使う
手放す勇気と、選ぶ覚悟が、自由をつくる
最後に残るのは「生き方」そのもの
【あとがき】
『お金の真理』を読み終えたあとに残るものは、「お金」そのものの知識ではなく、「自分はどう生きたいのか」という問いかけです。
与沢翼氏は、波乱万丈の人生を経て、物質的な豊かさと精神的な自由の両立を模索してきました。その軌跡は、すべての読者に「自分の生き方を選び直す勇気」を与えてくれます。
本解説書では、氏の発信する哲学・戦略・実践を丁寧にひも解きながら、その先にある読者自身の「選択」に焦点を当てました。
どれほどの資産を築いても、自分の時間を生きていなければ意味がない。
どれほどの自由を手にしても、魂が囚われていればそれは牢獄だ。
──この真理に気づくとき、あなたのお金との付き合い方は変わります。
本書が、あなたの人生の転換点となれば幸いです。
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