プロローグ 数字に生き、数字に抗う
2025年10月。
資産総額8,029万2,634円。
この数字を見て、安堵したわけでも、誇りを感じたわけでもない。
むしろ、これは「資本主義との長い戦いの記録」に過ぎなかった。
不動産4,000万、ETF・株8,054,741円、現金1,200万、年金1,981万。
これらは、ただの数字ではない。
心身を削りながら積み上げた、「労働の残骸」だ。
世の中は、インフレへと舵を切った。
物価が上がり、金利が動き、為替が暴れる。
だが、給料は上がらない。
企業は利益を出しても、社員には配られない。しゃ
これが現代資本主義の「真実」だ。
第1章 資本主義の進化と罠――なぜ働いても豊かにならないのか
1970年代、世界は「金利の時代」だった。
アメリカでは政策金利が20%近くまで上昇し、
住宅ローン金利が人々の生活を直撃した。
80年代は「ドルの覇権」の確立期。
日本は輸出立国として躍進し、バブルの火種を抱えた。
そして1990年代。
バブルが崩壊し、デフレが日本を覆う。
銀行は貸し渋り、企業は投資を止め、給与は上がらない。
「失われた30年」が始まった。
だが、2000年代に入ると、世界は再び膨張を始める。
ITバブル、リーマンショック、コロナバブル、AIバブル――。
資本主義は常に「次の欲望」を餌にして拡張し続けた。
その中で我々労働者は、ただ働き続けるしかなかった。
給与所得の天井は見え、年金は不安定化し、税金は上がる。
「投資しなければ生き残れない」――
それが、現代資本主義の最終形だ。
第2章 金利と為替の罠――バブルはなぜ繰り返されるのか
金利が低ければ、人は借金をして投資する。
金利が上がれば、資産は売られる。
この単純な構造こそが、資本主義を動かす心臓だ。
2020年代前半、世界中がゼロ金利に酔っていた。
日本も、アメリカも、マネーを溢れさせた。
株価は上昇し、不動産は高騰した。
だが、2022年の米国FRBの利上げによって、
すべてが反転する。
ドル円は150円を突破し、物価は上がり、
「資産を持たない者」が最も苦しむ時代が始まった。
資本主義の構造は、常に「持つ者」を守る。
金利上昇時には、現金と実物資産を持つ者が強い。
デフレ期には、株式とリスク資産が報われる。
だから、どちらの時代にも「生き残る」ための戦略が必要だ。
筆者はこの十数年、現物とペーパーの両方を行き来してきた。
アパート1棟、戸建て3戸を現金で保有。
月のキャッシュフローは34万円。
IGLD2000株からの分配金は年117万円。
暗号資産150万円、含み損45万円。
だが、このすべてが「金利」「為替」「インフレ」によって左右される。
つまり、どの投資も“自由”ではない。
資本主義とは、常に「通貨との戦い」なのだ。
第3章 デフレからインフレへ――時代の変わり目を生き抜く戦略
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デフレの時代、人々は「安定」を求めた。
貯金が美徳とされ、借金は悪とされた。
だが、インフレの時代には、それが通用しない。
物価が上がり、円の価値が下がる。
現金を持ち続けることは、静かに資産を失うことを意味する。
では、どうすべきか。
筆者の戦略は明確だ。
- 現金は1,000万残し、生活防衛資金として死守。
- アパート・戸建ての現物資産を拡大し、キャッシュフローを増やす。
- ETF(IGLD・JEPQ)で為替とインフレに強いドル資産を確保。
- マイクロ法人を活用し、経費化・節税・社会保険軽減を同時に行う。
これが「労働者としての最終防衛線」だ。
資本主義は、常に個人の怠惰を食い物にする。
行動しない者は、知らぬ間に搾取される。
動く者だけが、波を乗りこなせる。
第4章 肉体と資産のリンク――健康資本主義の到来
「健康」もまた、資産の一部である。
ウォーキング26,000歩、筋トレ、スクワット。
Fitbitが示すのは、単なる数字ではなく「自律の証」だ。
心拍数63、血圧128/65、体重79.0kg、体脂肪23.8%。
数値のすべてが、生活習慣の鏡。
マイオカインという筋肉ホルモンが、
ストレスを軽減し、集中力を高める。
不動産やETFが「お金の流れ」を作るなら、
筋トレとウォーキングは「血流の流れ」を作る。
どちらも滞れば、人生は詰む。
筆者は思う。
資本主義の本質とは、“健康な人間ほど長く働ける仕組み”だ。
だからこそ、健康を守ることは、
経済的自由への“最短ルート”でもある。
第5章 資本主義を超えるために――「静かなファイア」という選択
サイドFIREとは、逃避ではない。
戦略的撤退であり、「資本主義から距離を取る技術」だ。
労働に縛られず、資産が働く構造を作る。
ただし、完全リタイアではなく、
社会との“ゆるいつながり”を保つ。
筆者の目標は、キャッシュフロー50万円。
これを超えたとき、
「会社を辞めてもいい」ではなく、
「会社に頼らなくてもいい」と言えるようになる。
金利・為替・インフレ――
時代の波を読むことは、未来を読むことだ。
資本主義は常に変化するが、
その中で「人間らしく生きる」ことは、変えてはいけない。
🏁エピローグ 静かなる戦士たちへ
今日も歩く。
26,000歩。
夜の街灯の下、考える。
ETFか、不動産か。
ドルか、円か。
動くか、待つか。
その問いの先にあるのは、
「どんな時代でも、自分で選ぶ」という意志だ。
資本主義は、戦い続ける者にしか微笑まない。
だが、戦い方を変えれば、
静かに勝つこともできる。
それが――
社畜の資産戦略2025


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