電通グループの構造的弱点と再生シナリオ──暴落局面は買いか、撤退か | 40代社畜のマネタイズ戦略

電通グループの構造的弱点と再生シナリオ──暴落局面は買いか、撤退か

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第1章 電通グループは今、何が起きているのか――暴落の核心

電通グループの株価は、2024~2025年にかけて断続的に売られ、特に海外子会社の巨額ののれん減損が投資家心理に深い影を落としている。

「のれん減損」は企業価値の毀損を意味し、過去のM&Aにおける“期待値”が実現しなかったことを意味する。
そして電通は、ここ10年以上、積極的な海外拡大路線をとってきた。

しかし2025年1〜9月期決算では

最終損益:615億円の赤字(前年同期は15億円の黒字)

営業損益:74億円の赤字(前年同期289億円の黒字)

過去買収の海外事業で巨額の減損

海外広告市況の鈍化

為替影響

クリエイティブ報酬の低下

という複合的なマイナスが重なった。

だが一方で、決算の隅々を読み込むと、
日本事業がむしろ過去最強クラスの利益体質に改善していること
も明確に表れている。

つまり電通の現在地は――

「海外事業の後始末をしながら、日本事業が収益を引っ張る構造への移行」

であり、株価はこの“移行期間の揺れ”を反映しているのだ。


第2章 のれん減損の深層――なぜ海外買収は失敗したのか

電通の海外買収は確かに積極的だった。

ベルギーのCRM大手

英国のクリエイティブ企業

欧米のマーケティング会社

デジタル広告代理店群(Merke、iProspectなど)

これらは電通が世界2位の広告グループとなる礎を築いたものの、
いくつかの買収は効果が出ず、収益化が困難になった。

のれん減損=「期待した収益を生み出せないと判断した時の損失」
である。

今回の減損が示すのは、

買収価格が割高だった可能性

統合作業(PMI)の不足

欧米の広告市況悪化による逆風

インフレによる広告費削減

競争環境の激化

特に米国市場では、Google・Meta広告の圧倒的支配により、従来型広告代理店は利益確保が難しい。

だからこそ、電通の海外事業が圧迫され、その“後始末”として減損が続いた。

投資家は「過去の失敗」のツケを嫌って売る。
これが暴落の本質である。


第3章 しかし日本事業は絶好調――数字で見る“本当の姿”

決算のポイントは、
「日本事業」がむしろ過去10年で最強クラスの利益率に改善している点
だ。

日本では以下が追い風となっている。

企業のDX需要の拡大

EC・アプリ広告市場の拡大

デジタルマーケティング需要の急増

インバウンド向け広告の増加

スポーツ・イベント関連広告費の回復

特にデジタル案件の利益率は高く、
電通が全国企業のDX推進に深く入り込んでいるのが大きい。

つまり電通グループの構造は、

海外が赤字を引っ張り、日本が黒字を押し上げる“構造転換期”

にある。

この構造転換が完了すれば、
電通は“軽くて強い企業”に生まれ変わる可能性が高い。


第4章 株価はどこまで下がる? 指標・チャート・需給から読む

■株価の下落余地は?

電通株はすでに

海外減損による赤字

市場不信(海外M&Aへの警戒)

広告市況の不透明感

を株価に相当織り込み済み。

PBRは1倍割れ寸前の水準にあり、
減損の“悪材料”による売りは末期段階。

■チャートの重要ポイント

2,000円前後:長期サポート

2,200〜2,300円:短期の戻り上値

1,900円割れ:投げ売りが発生する可能性

**現在の売られ方は「機関投資家の失望売り+個人の投げ」**が重なっており、
“悪材料のピークアウト”を示す値動きである。

■需給の変化

減損の発表で“最悪シナリオ”が出た

株価は反応し、投資家の不安はピーク

来期の復業予想が保守的 → 市場は織り込み済み

つまり、
「悪材料出尽くし」シグナルが出ている状態 だ。


第5章 電通グループの“本当の買い時”――長期投資家が待つべき3つのポイント


●結論:電通株の買い場は“この3つのサインが揃った時”

このラインより上のエリアが無料で表示されます。

① 海外事業の減損が終わったと明言されるタイミング

決算コメントに
「海外事業ののれん減損は概ね収束」
と明記された瞬間、機関投資家は買い戻しに動く。

② 日本事業の営業利益率が2桁に乗った瞬間

日本事業はすでに高収益化が進んでおり、
利益率10%が見えれば株価の基準が変わる。

③ 株価が1,900~2,100円の長期サポート帯を固めた時

長期投資家が最も狙うポイント。
ここは10年以上意識されている“歴史的な買いゾーン”。


●長期の見通し:電通は“日本最強のDX企業”へ変貌する可能性

広告代理店の時代は終わった、と言われる。
しかし電通はすでに、

マーケティング企業

DXコンサル企業

データ分析企業

統合型デジタル企業

へと構造が変わっている。

電通は今後、
コンサルティング+デジタル+クリエイティブ
という“唯一無二の巨大統合企業”になる可能性を秘めている。

海外事業の後始末が終われば、
電通の利益は跳ねる。


●買い時まとめ

タイミング 理由

2,000円前後 長期サポート帯、買いの初動。
減損収束のアナウンス インパクト最大、株価急騰の起点。
日本事業の利益が過去最高更新 構造転換の完了。【了】

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