第一章 「r>g」とは何か ― 資本が労働を凌駕する時代に
2025年、私の総資産は8,059万7,234円に達した。
不動産4,820万円(59.8%)、年金1,964万円(24.4%)、預金・暗号資産1,205万円(15.0%)、株式67万円(0.8%)。
この数字は、汗と努力の結晶であると同時に、トマ・ピケティが指摘した「r>g(資本収益率>経済成長率)」という冷酷な現実の証でもある。
ピケティが明らかにしたのは、「労働による所得成長」よりも「資本が生み出す利益」の方が早く増えるという構造的真実だ。
つまり、働いているだけでは貧しくなる。
一方で、資本(不動産・株式・知的資産)を持つ者は、時間とともに富を増やしていく。
現代日本の労働者は、ピケティの理論を“感じながらも言語化できない”まま苦しんでいる。
毎日満員電車に揺られ、社内政治を避け、責任だけが重くなる中、給料は上がらない。
それでも「やめる勇気」も「投資に回す知恵」も持てない。
この構造こそが、橘玲のいう“無理ゲー社会”の正体だ。
第二章 橘玲が見抜いた「資本主義ゲームのルール」
橘玲は著書『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』でこう述べた。
「この国は努力ではなく、構造で報われるようにできている。」
これはピケティの「r>g」を、より生活実感に落とし込んだ形だ。
日本は、努力よりも「制度をどう利用するか」で人生のリターンが決まる。
たとえば、年功序列と終身雇用という“幻想”に寄りかかった世代は、制度の恩恵を受けた。
だが、今の40代以下にはそれが崩壊している。
では、どうすれば生き残れるのか。
答えはシンプルだ。
「労働者・自営業・経営者・オーナー」をすべて経験する。
私自身、不動産投資を始めたのは「社畜で終わらないため」だった。
アパート11室、月キャッシュフロー34万円。
ここに、自宅売却後のキャッシュ1,800万円を加え、19室・月50万円を目指す。
目的は“脱・労働依存”。
橘玲が言う“個人資本主義”とは、まさにこの状態を指す。
第三章 働かないおじさんはなぜ生き残るのか
会社で見かける“働かないおじさん”――彼らを嘲笑う若手は多い。
だが、彼らこそピケティのr>gの象徴である。
すでに彼らは「資本の側」に回っているのだ。
彼らは自らの地位・退職金・人脈という“見えない資本”をフル活用している。
そして何より、時間を味方につけている。
20年、30年という時間の中で、会社という制度に寄生し、
「働かなくても給料が出る仕組み」を自分の側に引き寄せた。
それは倫理的には批判されるかもしれない。
だが、経済的には「合理的」なのだ。
働かないおじさんは怠け者ではない。
制度の本質を理解した人間である。
私たちが真に学ぶべきは、「彼らの動かない戦略」だ。
資本主義の勝者は、動く者ではなく、「流れに取り残されない者」だ。
第四章 インフレとデフレの狭間で ― 日本資本主義のねじれ
現在の日本は、名目賃金が上がらないまま物価が上昇する“スタグフレーション気味のインフレ”に突入している。
日経平均は乱高下し、AI・半導体・電線・データセンターが新たな勝者セクターとなる一方、
地方の中小企業や一般労働者の生活は追い詰められている。
ここで問われるのは「何を持っているか」だ。
インフレ時代の最大の敵は「現金」。
デフレ時代の武器が「貯金」だったのに対し、
インフレ時代は「資産を持つこと」こそが生存戦略になる。
ピケティのr>g理論は、インフレ時により鮮明に浮かび上がる。
資本収益率rは、価格上昇によってさらに伸びる。
労働成長率gは、賃金の固定化によって下がる。
結果、格差は拡大する。
つまり、インフレは“持たざる者”を苦しめ、“持つ者”を加速させる。
だからこそ、いま行動すべきだ。
「買うべき資産を持たないこと」が、最大のリスクになる。
第五章 これからの“社畜資本主義”を生きるために
結論は明確だ。
現代の日本を生き抜くためには、
「労働」ではなく「仕組み」を作る側に回ること。
それがマイクロ法人であり、
キャッシュフロー型の不動産投資であり、
そして知的資産の積み上げだ。
r>gの世界では、時間こそ最大の資本。
早く始めた者が、複利の力を享受する。
橘玲の言う「世界は残酷だが、ルールを知ればやさしい」という言葉は、
資本主義の“裏マニュアル”でもある。
私たちは、もう「正社員」という幻想にすがる時代を終えなければならない。
静かに働き、静かに資産を積み、静かに退職する。
それが新しい“社畜の美学”だ。
そして、最終的な勝者は――
「怒らず、焦らず、諦めず、資本に働かせる者」である。
📘 まとめ
・r>gは「資本が勝つ法則」。
・橘玲は「制度を利用する者が勝つ」と説く。
・働かないおじさんは「制度に適応した生存者」。
・インフレ時代は「持つ者」と「持たざる者」の格差が加速。
・結論:社畜でも“資本主義のルール”を理解すれば生き残れる。(了)



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