第1章 TSYY1900万の現在地 値動き・分配金・テスラとの歪な関係 ―
私はいま、TSYYに約1,900万円を投じている。
株数は19,000株。
評価額は日々揺れ、含み損は80万円前後を行き来している。
数字だけを見れば、冷静な投資家は眉をひそめるだろう。
「そんな高配当ETFに、そこまで突っ込むのは危険だ」と。
だが、私は迷っていない。
なぜなら、この投資は
“儲けたい”から始めたものではない からだ。
■ TSYYという異常な商品
TSYYは、普通のETFではない。
テスラを原資産にしたカバードコール型の高配当ETFだ。
株価は大きく伸びにくい
上昇の果実はオプションで売ってしまう
その代わり、毎月異常な分配金が出る
要するにこうだ。
夢は売る。
生活費を買う。
これは資本主義の王道ではない。
むしろ、王道から一段外れた裏道だ。
■ 今週の分配金:34万円という現実
今週、私の口座には
TSYYから約34万円の分配金が入金予定だ。
これは年利換算で見れば、
もはや「高配当」という言葉では足りない。
だが、ここで重要なのは金額そのものではない。
「働かずに入ってくるキャッシュフローが、
現実として生活を支え始めている」
この事実だ。
■ 含み損80万円という“精神的ノイズ”
一方で、含み損は約80万円。
日によっては100万円を超えることもある。
SNSではこう言われる。
「減配したら終わり」
「元本が削られるだけ」
「長期保有は危険」
その指摘は、理屈としては正しい。
だが、私はこの含み損を
「失敗」だとは認識していない。
理由は明確だ。
■ 私は“株価”ではなく“機能”を買っている
TSYYに期待しているのは、
株価上昇ではない。
毎月キャッシュが入る
労働依存度を下げる
精神的な余裕を生む
この機能だ。
株価が上下するたびに心が揺れるのは、
株価に期待しすぎている証拠でもある。
私はすでに、
「期待の置き場所」を変えた。
■ テスラが上がると、なぜ不安になるのか
皮肉な話だが、
テスラが急騰すると、TSYYホルダーは少し不安になる。
なぜなら、
上昇分はオプションで刈り取られる
株価は思ったほど伸びない
なのに、ボラティリティだけは増える
つまり、
“夢が大きくなりすぎると、TSYYは苦しくなる”
この歪な関係を、私は理解した上で持っている。
■ 来週、私はさらに1,000株を買う
来週、給料日が来る。
私はTSYYをさらに1,000株買い足す予定だ。
これで2万株。
理由は単純だ。
分配金の安定性
キャッシュフローの厚み
精神的な可動域の拡張
私は今、
「増やすフェーズ」 にいる。
■ 社畜が選ぶ“歪んだ最適解”
この投資は、万人向けではない。
だが、社畜には向いている。
時間がない
精神をすり減らしている
将来が見えない
だからこそ、
夢より、まず余白。
成長より、まず呼吸。
TSYYは、
私にその余白を与えてくれている。
第2章 テスラの値動きとTSYYの正体
― なぜ上がっても喜べず、下がっても手放せないのか ―
TSYYを持ち始めてから、
私はテスラの株価を以前とはまったく違う目で見るようになった。
テスラが上がれば万歳、
下がれば絶望。
そんな単純な感情は、
TSYYを通した瞬間に壊れる。
■ テスラが上がるとTSYYは「素直に喜べない」
今回もそうだ。
テスラは明確に上昇トレンドに入っている。
ギガファクトリーへの巨額投資、
EV競争の再加速、
AI・ロボティクスへの期待。
ニュースだけ見れば、
強気材料のオンパレードだ。
だが、私はTSYYのチャートを見て、
少しだけ息を止める。
「……ああ、またか」
■ TSYYは“テスラの夢”を売る商品
TSYYは、
テスラ株に対してコールオプションを売り続けるETFだ。
これはどういうことか。
テスラがゆっくり上がる → OK
テスラが横ばい → OK
テスラが爆上げ → NG
夢が大きすぎると、
TSYYはその夢を市場に売ってしまう。
つまり、
テスラのロマン=TSYYの原資
という、非常に歪な構造だ。
■ 株価上昇=分配金の燃料
誤解されがちだが、
テスラが上がること自体は悪くない。
むしろ重要なのは、
ボラティリティ(値動きの激しさ)
オプションプレミアムの厚さ
だ。
テスラが話題になり、
人々が期待と恐怖で揺れるほど、
TSYYは分配金を生みやすくなる。
私はここに、
TSYY最大の「設計思想」を感じている。
■ なぜTSYYは“上にも下にも行きにくい”のか
TSYYのチャートを見ていると、
ある違和感に気づく。
「下がるときは下がるが、
なぜか一定ラインで踏みとどまる」
「上がるときは上がるが、
どこかで頭を抑えられる」
これは偶然ではない。
TSYYは、
上値 → オプションで削られる
下値 → 分配金利回りで買いが入る
という二重の天井と床を持っている。
■ TSYYは“価格商品”ではない
ここで、
私はひとつの結論にたどり着いた。
TSYYは株ではない。
TSYYは「装置」だ。
株価を追いかける人ほど、
TSYYに向いていない。
なぜなら、
含み益で脳が喜ぶ人
チャートで興奮する人
倍化を夢見る人
これらはすべて、
TSYYの設計思想と真逆だからだ。
■ テスラとTSYYを同時に見ると、思考が変わる
私はいま、
テスラ → 成長と夢
TSYY → キャッシュと現実
この二層構造で市場を見ている。
テスラが上がるとき、
私はこう考える。
「よし、分配金の燃料は十分だ」
テスラが下がるとき、
私はこう考える。
「分配金で耐える時間はある」
■ TSYYは「安心」を買う商品ではない
ここは、
正直に書いておくべきだろう。
TSYYは、
安全ではない
永続保証はない
減配リスクは常にある
だからこそ、
思考停止で持つ商品ではない。
だが同時に、
理解した上で持てば、
精神を救う力を持つ商品
でもある。
■ 私がTSYYを“長期で考える理由”
私がTSYYを長期で考える理由は、
株価でも利回りでもない。
それは、
労働の選択肢が増える
精神的な逃げ場ができる
生活に「余白」が生まれる
この3点だ。
社畜にとって、
最大のリスクは価格変動ではない。
「心が先に折れること」
第3章 不動産現物という「地味だが折れない資産」― TSYYと真逆の性質を持つ、社畜の命綱 ―
TSYYのチャートを見ていると、
心はどうしても揺れる。
分配金が出ても、
評価額が下がれば胸がざわつく。
テスラが上がれば期待し、
下がれば不安になる。
そんな感情の振れ幅を、
完全に無効化してくれる資産がある。
■ 不動産は、値段を見なくていい資産
それが、
不動産現物だ。
不動産には、
株式のような「板」も
暗号資産のような「瞬間的暴落」もない。
朝起きてアプリを開き、
「昨日より▲3%」と
突きつけられることもない。
■ 私の不動産の現実的な姿
私は現在、
評価額:約4,000万円
実投資額:約3,500万円
構成:
アパート1棟
戸建て3棟
月間キャッシュフロー:約34万円
この数字を見て、
派手だと思う人は少ないだろう。
だが、
この34万円は裏切らない。
■ 不動産は「感情を排除する装置」
不動産の最大の価値は、
利回りでも節税でもない。
それは、
感情を投資から切り離してくれること
だ。
空室が出ても、
翌日いきなり資産が半分になることはない。
家賃が入れば、
理由を問わず現金が残る。
■ TSYYと不動産は、真逆の存在
私はTSYYと不動産を、
意図的に真逆の性質で持っている。
項目 TSYY 不動産
値動き 毎日見える ほぼ見えない
感情 揺れる 揺れにくい
流動性 高い 低い
退屈さ ない ある
安心感 条件付き 高い
TSYYは「考える資産」。
不動産は「考えなくていい資産」。
■ 社畜にとっての最大の保険
社畜にとって、
本当のリスクは何か。
それは、
病気
メンタル不調
突然の配置転換
評価の低下
年齢による市場価値の下落
これらが起きた瞬間、
給料は止まる。
■ だが不動産は止まらない
会社がどうなろうと、
上司が誰になろうと、
評価が下がろうと、
家賃は振り込まれる。
これが、
社畜にとってどれほど大きいか。
■ 不動産は「自由を与えない」が「逃げ道を作る」
勘違いしてはいけない。
不動産は、
一瞬で自由にしてくれない
ド派手な人生逆転もない
SNSで自慢できない
だが、
最悪の未来を防ぐ力
は、確実にある。
■ TSYYだけでは、心が持たない
正直に書く。
TSYYだけを
資産の柱にするのは、
精神的にかなりキツい。
含み損が膨らんだとき、
分配金が減ったとき、
「この判断は正しかったのか」と
何度も自問する。
■ そのとき、支えてくれるのが不動産
私はTSYYが下がった日でも、
「まあ、家賃は入るしな」
と考えることができる。
この一言が、
どれほど心を軽くするか。
■ 不動産は“勝つため”ではなく“生き残るため”
投資の世界では、
どうしても「勝ち」に目が向く。
だが社畜にとって大事なのは、
勝ち続けることではなく、
脱落しないこと
不動産は、そのための装置だ。
第4章 総資産8,100万円でも不安が消えない理由― 社畜は「勝っても安心できない生き物」 ―
このラインより上のエリアが無料で表示されます。
私は今、
総資産で見れば約8,100万円を持っている。
世間的に見れば、
「もう十分じゃないか」
「勝ち組じゃないか」
そう言われてもおかしくない数字だ。
だが、
正直に書く。
安心は、していない。
■ 数字は増えても、不安は比例して消えない
資産が1,000万円の頃、
私はこう思っていた。
「3,000万あれば楽になる」
「5,000万あれば安心できる」
「1億あれば不安は消える」
今、
そのどれもが幻想だったと分かる。
■ 総資産8,100万円の内訳を冷静に見る
私は自分の資産を、
感情を排して分解している。
不動産:約4,000万円
年金(確定拠出・厚生年金):約1,900万円
株式(現物):約1,800万円
預金・現金・暗号資産:数百万円
TSYY:1,900万円分投資中(含み損あり)
こうして見ると、
自由に動かせるお金は意外と少ない。
■ 「使えない資産」が不安を生む
不動産は簡単に売れない。
年金は今すぐ使えない。
含み損のある株は心理的に触りづらい。
つまり、
資産はあっても、
逃げ場として使える現金は限られている
この事実が、
不安を消してくれない。
■ 社畜の恐怖は「収入が止まる瞬間」
私が本当に怖れているのは、
相場の下落でも暴落でもない。
それは、
体調を崩したとき
メンタルが折れたとき
会社で居場所を失ったとき
「もう無理だ」と思った朝
その瞬間に、
給与という最大のキャッシュフローが止まることだ。
■ 資産があっても、会社に縛られる現実
資産8,100万円があっても、
私は今日も会社に行く。
上司の顔色を見る。
意味のない会議に座る。
評価シートを気にする。
これは事実だ。
■ 社畜の資産形成は「不安と共存するゲーム」
私はもう分かっている。
投資をすればするほど、
数字を管理すればするほど、
新しい不安が生まれる。
分配金は来月も出るか
テスラは来年どうなるか
不動産の修繕はいつ来るか
年金制度は持つのか
不安は消えない。
形を変えるだけだ。
■ それでも、資産形成をやめない理由
では、
なぜ私は続けるのか。
答えは一つ。
何もしない不安の方が、
圧倒的に耐えられないからだ。
■ 何も持たない社畜には、選択肢がない
資産がなかった頃の私は、
嫌でも働く
我慢する
逃げ場がない
この三点セットで生きていた。
今は違う。
■ 今は「耐えながら選べる」
今の私は、
働くこともできる
休む選択肢もある
無理なら撤退できる
完全な自由ではない。
だが、詰んではいない。
■ 社畜にとっての資産形成の本質
資産形成の本質は、
安心を得ることではなく、
最悪を回避すること
だ。
資産8,100万円でも不安な私が、
資産0円に戻りたいと思うことは、
一度もない。
第5章 全ての根幹は、体と心だった― 資産戦略はメンタルが壊れた瞬間に終わる ―
正直に書く。
この章が一番大事だ。
TSYYの分配金でも、
不動産のキャッシュフローでも、
市場見通しでもない。
私がここまで生き延びられた理由は、
体と心を壊さなかったこと
それだけだ。
この章は、
数字が欲しい人には向かない。
再現性のあるテンプレもない。
「これをやれば年収が上がる」
そんな話もしない。
メンタルと体調の話は、
本気で生き残りたい人にだけ届けばいい。
■ 社畜が一番最初に壊れるのは「心」ではない
多くの人はこう言う。
「メンタルが弱いから辞めた」
「気持ちの問題だ」
私は違うと思っている。
最初に壊れるのは、体だ。
■ 体が壊れる → 思考が歪む → 判断を誤る
これは私自身が何度も経験した。
睡眠不足
運動不足
酒が増える
食事が適当になる
すると何が起きるか。
イライラする
被害妄想が強くなる
会社が必要以上に敵に見える
投資判断が雑になる
この状態で、
冷静な資産戦略など不可能だ。
■ TSYYを持ち続けられている理由
私はTSYYを
1,900万円分持っている。
含み損が100万円を超えた日もある。
分配金が減った週もある。
それでも、
投げなかった。
なぜか。
体と心が安定していたからだ。
■ ウォーキングは「逃げ場」だった
私はほぼ毎日、
長距離を歩いている。
目的はカロリー消費ではない。
痩せることでもない。
頭を整理するためだ。
歩いている間、
私は会社のことも、
相場のことも、
人生の不安も、
全部いったん横に置く。
■ 筋トレは「尊厳」を取り戻す行為
筋トレは、
社畜にとって最強のリハビリだ。
誰にも評価されない
昇進にも関係ない
金にもならない
それでも、
やった分だけ確実に返ってくる。
これは会社では得られない感覚だ。
■ 体が強くなると、人に優しくなれる
これは本当だ。
体力があると、
多少の理不尽を受け流せる
嫌な人間と距離を取れる
感情をぶつけなくなる
私は筋トレを始めてから、
他人を恨む時間が激減した。
■ サードプレイスを持て
会社でもなく、
家でもない場所。
私にとっては、
ジムがそれだった。
ここでは、
肩書きが消える
年収が消える
社内政治が消える
ただの「人間」に戻れる。
■ 異業種交流会は「たまに」でいい
私は、
人脈を広げることに興味はない。
だが、
世界を狭くしないために
たまに外に出る。
重要なのは、
「自分の会社が世界のすべてではない」
と確認することだ。
■ なぜ一人でやる戦略に行き着いたか
私は分かった。
人とやると、
調整コストが増える
感情の衝突が起きる
自由度が下がる
資産形成も、
起業も、
一人の方が圧倒的に楽だ。
■ 資産戦略の最終防衛ライン
ここまで書いて、
はっきり言う。
体と心が壊れた瞬間、
TSYYも不動産も意味がなくなる。
これは脅しではない。
事実だ。
■ 私が目指している状態
私は「勝ち組」になりたいわけではない。
目指しているのは、ただ一つ。
場所・時間・人に固執せず、
静かに生きられる状態
そのための手段が、
TSYYであり、
不動産であり、
運動だった。
■ 最後に
ここまで読んだあなたに、
一つだけ伝えたい。
資本主義は、
体力のない人間から脱落していく。
精神論ではない。
構造の話だ。
金より先に、
体を積み上げろ。
配当より先に、
呼吸を整えろ。
それが、
私が1,900万円をTSYYに突っ込んでも
まだ生きていられる理由だ。
今日も読んでくださりありがとうございました。了


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