今回は、note用に第1章〜第5章構成でまとめます。
第5章は有料版パート想定で、試験対策として「覚え方・ひっかけポイント・横断整理」を厚めにし
キャリアコンサルタント試験対策|動機付け理論まとめ
- ――マズロー・ハーズバーグ・アルダファー・マクレランド・マグレガーを一気に理解する
- 1 生理的欲求
- 2 安全の欲求
- 3 所属と愛の欲求
- 4 承認の欲求
- 5 自己実現の欲求
- 欠乏欲求と成長欲求
- マズロー理論の試験ポイント
- ハーズバーグの二要因理論
- 衛生要因とは何か
- 動機付け要因とは何か
- 二要因理論の試験ポイント
- キャリア相談での二要因理論
- アルダファーのERG理論
- 生存欲求
- 関係欲求
- 成長欲求
- マズローとの違い
- ERG理論の試験ポイント
- 第3章のまとめ
- マクレランドの達成動機理論
- 達成欲求
- 権力欲求
- 親和欲求
- 達成動機理論の試験ポイント
- マグレガーのX理論・Y理論
- X理論
- Y理論
- キャリアコンサルティングでの応用
- 第4章のまとめ
- 1 まず理論家とキーワードを一対一で覚える
- 2 マズローは「5段階」と「自己実現」
- 3 ハーズバーグは「不満を減らす」と「満足を高める」を分ける
- 4 アルダファーは「ERG」と「同時に生じる」
- 5 マクレランドは「達成・権力・親和」
- 6 マグレガーは「人間観」
- 7 似ている理論の違い
- 8 実務での使い分け
- 9 最短暗記フレーズ
- 第5章のまとめ
――マズロー・ハーズバーグ・アルダファー・マクレランド・マグレガーを一気に理解する
第1章 動機付け理論とは何か――人はなぜ働くのか
キャリアコンサルタント試験で出てくる理論の中でも、動機付け理論は非常に重要である。
なぜなら、キャリア相談の現場では、相談者が単に「どんな仕事を選ぶか」だけで悩んでいるわけではないからだ。
むしろ、多くの相談は、次のような問いを含んでいる。
「今の仕事にやる気が出ない」
「転職したいが、本当に何を求めているのかわからない」
「給与は悪くないのに満足感がない」
「人間関係はよいが、成長している気がしない」
「安定はしているが、このままでいいのか不安」
「評価されたいのに、なかなか認めてもらえない」
「仕事に意味を感じられない」
「もっと自分らしく働きたい」
こうした悩みの根底には、動機付けの問題がある。
動機付けとは、簡単に言えば、
人が行動を始め、続け、目標へ向かうための心のエネルギー
である。
人はなぜ働くのか。
お金のためか。
生活の安定のためか。
人間関係のためか。
承認されるためか。
成長するためか。
社会に貢献するためか。
自己実現のためか。
この問いに答えようとしたのが、動機付け理論である。
写真資料では、主に以下の理論が扱われている。
マズローの欲求5段階説。
ハーズバーグの二要因理論。
アルダファーのERG理論。
マクレランドの達成動機理論。
マグレガーのX理論・Y理論。
これらはすべて、キャリアコンサルタント試験で押さえておきたい重要理論である。
ただ、丸暗記しようとすると混乱しやすい。
なぜなら、どれも「人の欲求」や「やる気」に関する理論だからだ。
そこで大事なのは、理論ごとの違いを押さえることである。
マズローは、欲求を階層で見た。
ハーズバーグは、仕事の満足と不満足を二つの要因で見た。
アルダファーは、マズローを整理してERGの3分類にした。
マクレランドは、社会的欲求を達成・権力・親和で見た。
マグレガーは、人間観をX理論・Y理論で見た。
つまり、同じ動機付け理論でも、見ている角度が違う。
キャリアコンサルティングの実践では、相談者が何に動機づけられているのかを見極める必要がある。
相談者は、生活の安定を求めているのか。
人間関係の安心を求めているのか。
承認されたいのか。
成長したいのか。
達成感を得たいのか。
裁量を求めているのか。
責任を引き受けたいのか。
逆に、責任が重くなりすぎて苦しくなっているのか。
この見極めができると、相談支援の深さが変わる。
たとえば、ある相談者が「今の仕事にやる気が出ない」と言ったとする。
この時、単純に「転職しましょう」とは言えない。
給与や労働条件に不満があるのか。
人間関係に疲れているのか。
評価されていないと感じているのか。
仕事そのものに意味を感じていないのか。
成長機会がないのか。
裁量がなさすぎるのか。
逆に、責任が重すぎるのか。
原因によって、必要な支援は変わる。
給与や職場環境への不満なら、ハーズバーグの衛生要因が関係する。
成長や達成感の不足なら、ハーズバーグの動機付け要因が関係する。
生活不安なら、マズローの安全の欲求やアルダファーの生存欲求が関係する。
人間関係なら、マズローの所属と愛の欲求やアルダファーの関係欲求が関係する。
評価されたいなら、マズローの承認欲求が関係する。
成果を出したいなら、マクレランドの達成欲求が関係する。
裁量や自律性を求めるなら、マグレガーのY理論的な人間観と関連する。
このように、動機付け理論は、相談者の悩みを整理するための地図になる。
試験対策としても、ただ名前と用語を覚えるだけでは不十分である。
「どの理論が、どの欲求を、どのような構造で説明しているのか」
ここを押さえる必要がある。
動機付け理論を理解するうえでの第一ポイントは、
人は一つの理由だけで働いているわけではない
ということだ。
人はお金のためにも働く。
安全のためにも働く。
人とつながるためにも働く。
認められるためにも働く。
成長するためにも働く。
社会に役立つためにも働く。
自己実現のためにも働く。
つまり、働く動機は多層的である。
第二ポイントは、
低次の欲求と高次の欲求を区別すること
である。
生活が不安定な人に対して、いきなり「自己実現を目指しましょう」と言っても響きにくい。
まずは収入、健康、住居、雇用、安心感などの土台が必要である。
一方で、生活は安定しているのに「満たされない」と感じている人には、承認、成長、達成感、自己実現などの高次欲求が関係している可能性がある。
第三ポイントは、
満足と不満足は単純な反対語ではない
ということである。
これはハーズバーグの二要因理論で特に重要になる。
不満を減らすことと、満足を増やすことは、別の問題である。
職場環境や給与を改善すれば不満は減る。
しかし、それだけで仕事へのやりがいが高まるとは限らない。
やりがいを高めるには、達成感、承認、責任、成長、仕事そのものの意味が必要になる。
第四ポイントは、
人間観によってマネジメント方法が変わる
ということである。
これはマグレガーのX理論・Y理論で重要である。
人間は怠け者だから管理しなければならない、と見るのか。
人間は条件が整えば自発的に働く、と見るのか。
この人間観の違いによって、組織のマネジメントもキャリア支援も変わる。
キャリアコンサルタントは、相談者を「動かない人」「やる気がない人」と決めつけるのではなく、
どのような条件が整えば、その人は主体的に動けるのか
を考える必要がある。
第1章の結論はこうである。
動機付け理論は、相談者の「やる気が出ない」「満足できない」「転職したい」「もっと成長したい」という悩みを理解するための重要な枠組みである。
そして、試験対策では、それぞれの理論を次のように整理するとよい。
マズローは、欲求を階層で見た。
ハーズバーグは、満足と不満足の要因を分けた。
アルダファーは、欲求をERGに整理した。
マクレランドは、社会的欲求を達成・権力・親和で見た。
マグレガーは、人間観をX理論・Y理論で見た。
この違いを押さえれば、動機付け理論はかなり整理しやすくなる。
第2章 マズローの欲求5段階説――人間は低次欲求から高次欲求へ向かう
動機付け理論の中で、最も有名なのが、マズローの欲求5段階説である。
マズローは、人間の欲求を階層構造として捉えた。
低次の欲求がある程度満たされると、人はより高次の欲求へ向かうと考えた。
写真資料にもあるように、下から順に、
生理的欲求。
安全の欲求。
所属と愛の欲求。
承認の欲求。
自己実現の欲求。
この5つである。
マズローの理論は、動機づけ理論とも呼ばれる。
人間は自己実現に向かって絶えず成長する存在だと考えた点が重要である。
1 生理的欲求
最も低次にあるのが、生理的欲求である。
これは、生きるために必要な基本的欲求である。
食事。
睡眠。
休息。
水分。
排泄。
生命維持。
健康の最低限の維持。
これらが満たされていなければ、人は高次の欲求へ向かいにくい。
キャリア相談で考えるなら、長時間労働で睡眠が取れていない人、生活が不規則な人、健康を壊している人に対して、いきなり「自己実現」や「やりがい」だけを語るのは危険である。
まず、身体の土台が必要になる。
「疲れすぎて判断力が落ちている」
「睡眠不足で気持ちが不安定になっている」
「食事や休息が取れず、仕事への意欲が下がっている」
こうした場合、キャリアの悩みは、実は生理的欲求の未充足から来ている可能性がある。
キャリアコンサルタントは、相談者の働き方だけでなく、心身の状態にも注意を向ける必要がある。
2 安全の欲求
次に、安全の欲求がある。
これは、安心して暮らしたい、危険から守られたい、安定した生活を送りたいという欲求である。
具体的には、
雇用の安定。
収入の安定。
健康の維持。
住居の安定。
社会保障。
職場の安全。
心理的安全性。
経済的安心。
などである。
キャリア相談では、安全の欲求は非常に多く出てくる。
「収入が不安」
「非正規雇用で将来が見えない」
「会社が倒産しそうで怖い」
「職場でハラスメントがある」
「健康を壊しそう」
「転職したいが、生活が不安」
こうした悩みは、安全の欲求と関係している。
安全の欲求が満たされていない場合、人は挑戦よりも安定を優先しやすい。
この時に、外側から「もっと挑戦しましょう」「成長しましょう」と言っても、相談者には響かないことがある。
まずは安心の土台を作ることが必要である。
3 所属と愛の欲求
3段階目は、所属と愛の欲求である。
これは、人とつながりたい、集団に属したい、愛されたい、受け入れられたいという欲求である。
キャリアの文脈では、職場での人間関係、チームへの所属感、上司や同僚との関係、孤立感などと関係する。
人は、単に給与だけで働いているわけではない。
職場で受け入れられている感覚。
チームに貢献している感覚。
仲間と協力している感覚。
上司や同僚との信頼関係。
これらが仕事への意欲に大きく影響する。
たとえば、仕事内容には不満がなくても、人間関係が悪ければ離職につながることがある。
逆に、仕事が大変でも、職場の人間関係がよければ続けられる場合もある。
所属と愛の欲求は、キャリア形成において非常に重要である。
4 承認の欲求
4段階目は、承認の欲求である。
これは、他者から認められたい、尊敬されたい、評価されたいという欲求である。
キャリア相談では、承認欲求もよく出てくる。
「頑張っているのに評価されない」
「成果を出しても認められない」
「上司から感謝されない」
「自分の存在価値を感じられない」
「昇進できず、自信を失っている」
こうした悩みは、承認の欲求と関係する。
承認欲求には、他者からの評価だけでなく、自己評価も含まれる。
自分は価値ある存在だ。
自分には能力がある。
自分は役に立っている。
こうした感覚が持てないと、仕事への意欲は下がりやすい。
ただし、承認欲求が強すぎると、他人の評価に振り回される。
キャリア支援では、他者承認だけでなく、自己承認や自己効力感を育てることも重要になる。
5 自己実現の欲求
最上位にあるのが、自己実現の欲求である。
これは、自分の能力や可能性を引き出し、創造的活動や自己成長を図りたいという欲求である。
写真資料にもあるように、自己実現の欲求は、
自分の能力や可能性を引き出し、創造的活動や自己成長を図りたいと思う欲求
である。
キャリアにおいては、
自分らしく働きたい。
能力を最大限発揮したい。
意味ある仕事をしたい。
成長したい。
創造的な活動をしたい。
社会に価値を出したい。
こうした欲求と関係する。
自己実現の欲求は、現代のキャリア相談で非常に重要である。
特に、生活は安定しているが満たされない人、給与は悪くないがやりがいがない人、もっと自分らしい仕事をしたい人は、この段階の欲求が関係している可能性がある。
欠乏欲求と成長欲求
マズロー理論では、欠乏欲求と成長欲求という整理も重要である。
生理的欲求。
安全の欲求。
所属と愛の欲求。
承認の欲求。
これらは、満たされないと不足感が生じる欲求であり、欠乏欲求として理解される。
一方、自己実現の欲求は、成長欲求として捉えられる。
不足を埋めるというより、自分の可能性を伸ばしていく欲求である。
この区別は試験でも重要である。
マズロー理論の試験ポイント
マズローは、欲求を階層化した。
低次欲求から高次欲求へ移行すると考えた。
最上位は自己実現の欲求である。
動機づけ理論とも言われる。
欠乏欲求と成長欲求の区別がある。
キャリア相談では、相談者がどの段階の欲求で悩んでいるかを見ることが重要である。
第2章の結論はこうである。
マズローの欲求5段階説は、相談者の悩みを「どの欲求が満たされていないのか」という視点で整理できる理論である。
生活不安なのか。
安全不安なのか。
人間関係なのか。
承認不足なのか。
自己実現への欲求なのか。
ここを見極めることで、より適切なキャリア支援につなげることができる。
第3章 ハーズバーグ・アルダファー――満足と不満足、そしてERG理論
第3章では、写真資料の中でも特に試験で出やすい、ハーズバーグの二要因理論と、アルダファーのERG理論を整理する。
この2つは、マズローと関連づけて覚えると理解しやすい。
ハーズバーグの二要因理論
ハーズバーグは、仕事における満足と不満足は、単純に同じ軸の反対ではないと考えた。
ここが最大のポイントである。
多くの人は、満足の反対が不満足だと考えやすい。
しかし、ハーズバーグは、仕事への不満を減らす要因と、仕事への満足を高める要因は別であると考えた。
それが、
衛生要因
動機付け要因
である。
衛生要因とは何か
衛生要因とは、不満足を防ぐ要因である。
写真資料では、
職場環境、給料、地位等が衛生要因として示されている。
具体的には、
給与。
職場環境。
会社の方針。
監督方法。
人間関係。
地位。
雇用の安定。
労働条件。
福利厚生。
などである。
これらが悪いと、不満が生じる。
給与が低すぎる。
職場が危険。
人間関係が悪い。
会社の方針に納得できない。
上司の管理がひどい。
労働条件が悪い。
こうした状態では、仕事への不満は大きくなる。
しかし、衛生要因を改善しても、それだけで仕事への満足が大きく高まるわけではない。
たとえば、給与が上がった。
職場環境が改善された。
人間関係が少し良くなった。
これにより不満は減る。
しかし、それだけで「この仕事は最高にやりがいがある」と感じるとは限らない。
ここがハーズバーグ理論の重要ポイントである。
動機付け要因とは何か
動機付け要因とは、仕事への満足を高める要因である。
写真資料では、成果、評価、個人的な成長の実感などが、動機付け要因に関係すると示されている。
具体的には、
達成。
承認。
仕事そのもの。
責任。
昇進。
成長。
自己実現。
などである。
これらがあると、人は仕事に満足しやすくなる。
自分の仕事で成果を出せた。
上司や顧客から認められた。
仕事そのものが面白い。
責任ある仕事を任された。
成長している実感がある。
自分の能力を発揮できている。
このような経験が、仕事への意欲を高める。
つまり、仕事の満足度を上げるには、単に不満を取り除くだけでは不十分である。
動機付け要因を高める必要がある。
二要因理論の試験ポイント
ハーズバーグは、満足と不満足を別の要因で説明した。
衛生要因は、不満足を防ぐ。
動機付け要因は、満足を高める。
給与や職場環境は衛生要因。
達成、承認、責任、成長は動機付け要因。
衛生要因を改善しても、満足度が必ず高まるわけではない。
この「不満を減らす」と「満足を高める」は別、という点が最重要である。
キャリア相談での二要因理論
相談者が「仕事がつまらない」と言った時、それが衛生要因の問題なのか、動機付け要因の問題なのかを見極めることが大切である。
給与が低いのか。
労働時間が長いのか。
人間関係が悪いのか。
職場環境が悪いのか。
これは衛生要因の問題である。
一方で、
成長できない。
評価されない。
達成感がない。
仕事そのものに意味を感じない。
責任ある仕事を任されない。
これは動機付け要因の問題である。
この違いを整理すると、相談者への支援が明確になる。
アルダファーのERG理論
次に、アルダファーのERG理論である。
アルダファーは、マズローの欲求5段階説を修正・整理し、3つの欲求にまとめた。
それが、ERG理論である。
Eは、Existence。
つまり、生存欲求。
Rは、Relatedness。
つまり、関係欲求。
Gは、Growth。
つまり、成長欲求。
写真資料でも、
生存、関係、成長の3つが核となる欲求として示されている。
生存欲求
生存欲求は、人間として存在するための低次の欲求である。
マズローでいう、生理的欲求と安全の欲求に近い。
給与。
安全。
健康。
生活の安定。
労働条件。
こうしたものが含まれる。
関係欲求
関係欲求は、他者との人間関係を持ち続けたいという欲求である。
マズローでいう、所属と愛の欲求や承認の欲求の一部に近い。
職場の人間関係。
上司や同僚との関係。
所属感。
信頼関係。
承認。
こうしたものが含まれる。
成長欲求
成長欲求は、成長を続けたいという高次の欲求である。
マズローでいう、自己実現の欲求や承認の欲求の一部に近い。
能力開発。
自己成長。
創造性。
自己実現。
達成感。
こうしたものが含まれる。
マズローとの違い
ERG理論で重要なのは、マズローのように必ず低次から高次へ一方向に進むとは限らない点である。
写真資料にもあるように、ERG理論では、各欲求は連続的であり、高次と低次の欲求が同時に生じることもある。
人は、生活の安定を求めながら、同時に成長も求める。
人間関係に悩みながら、同時に達成感も求める。
給与を求めながら、同時に自己実現も求める。
つまり、人の欲求は単純な階段ではない。
複数の欲求が同時に存在する。
これがERG理論の現実的なところである。
ERG理論の試験ポイント
アルダファーは、ERG理論。
Eは生存欲求。
Rは関係欲求。
Gは成長欲求。
マズローの5段階説を3分類に整理した。
欲求は同時に生じることがある。
低次から高次への一方向だけではない。
この点を押さえればよい。
第3章のまとめ
ハーズバーグとアルダファーは、マズローと関連づけて理解すると覚えやすい。
ハーズバーグは、仕事の満足と不満足を、衛生要因と動機付け要因に分けた。
衛生要因は不満を減らし、動機付け要因は満足を高める。
アルダファーは、マズローの5段階説を、生存欲求、関係欲求、成長欲求の3つに整理した。
ERG理論では、欲求は同時に生じることがあり、一方向の階層だけでは説明しない。
この2つを押さえると、動機付け理論の理解はかなり深まる。
第4章 マクレランド・マグレガー――成果を求める人間、成長する人間
第4章では、マクレランドの達成動機理論と、マグレガーのX理論・Y理論を整理する。
この2つは、組織やマネジメント、働く意欲を考えるうえで重要である。
マクレランドの達成動機理論
マクレランドは、動機付けを高める社会的欲求として、主に3つを示した。
達成欲求。
権力欲求。
親和欲求。
写真資料では、
良い成果を上げたいという達成欲求。
他者を支配したり影響を及ぼしたいという権力、支配欲求。
他者と親密な関係を維持したいという親和欲求。
と整理されている。
達成欲求
達成欲求とは、良い成果を上げたい、目標を達成したい、困難を乗り越えたいという欲求である。
達成欲求が高い人は、成果や目標に強く動機づけられる。
簡単すぎる課題よりも、少し難しい課題に燃えやすい。
自分の努力が結果に結びつく状況を好む。
フィードバックを重視する。
成果が見える仕事にやりがいを感じる。
キャリア相談では、達成欲求が強い人には、目標設定や成果確認、成長実感が重要になる。
権力欲求
権力欲求とは、他者に影響を与えたい、組織を動かしたい、リーダーシップを発揮したいという欲求である。
ここで注意したいのは、権力欲求は必ずしも悪いものではないということだ。
人を支配したいという形で出る場合もあるが、組織をよりよくしたい、チームを引っ張りたい、社会に影響を与えたいという形で出ることもある。
管理職、リーダー、教育者、政治家、経営者などは、権力欲求がプラスに働く場合がある。
ただし、権力欲求が強すぎると、支配的になったり、人間関係に問題が出たりすることもある。
親和欲求
親和欲求とは、他者と親密な関係を維持したい、仲良くしたい、受け入れられたいという欲求である。
親和欲求が強い人は、人間関係や協調性を重視する。
職場の雰囲気。
チームワーク。
仲間との信頼関係。
対立の少なさ。
人から好かれること。
こうしたことが働く意欲に影響しやすい。
一方で、親和欲求が強すぎると、対立を避けすぎたり、厳しい意思決定が苦手になったりする場合もある。
達成動機理論の試験ポイント
マクレランドは、達成動機理論。
達成欲求、権力欲求、親和欲求。
達成欲求は良い成果を上げたい欲求。
権力欲求は他者に影響を与えたい欲求。
親和欲求は親密な関係を維持したい欲求。
この3つの区別が重要である。
マグレガーのX理論・Y理論
次に、マグレガーのX理論・Y理論である。
これは、人間観に基づくマネジメント理論である。
写真資料では、
X理論は、
「人間は怠け者で、強制や命令をされなければ働かない」
とする理論。
Y理論は、
「内的欲求によって自発的に働き、責任も引き受ける」
とする理論。
と整理されている。
X理論
X理論は、人間を基本的に怠け者と見る考え方である。
人は本来、仕事をしたがらない。
責任を避ける。
命令されなければ動かない。
強制や統制が必要である。
このような人間観に立つと、マネジメントは命令、監督、統制、罰則中心になりやすい。
仕事を細かく管理し、上司が指示し、部下は従う。
これは、古典的な管理型マネジメントに近い。
Y理論
Y理論は、人間を自律的で成長する存在と見る考え方である。
人は条件が整えば、自発的に働く。
責任を引き受ける。
創造性を発揮する。
自己実現に向かって行動する。
このような人間観に立つと、マネジメントは、機会を与える、裁量を与える、責任を任せる、主体性を引き出す方向になる。
写真資料にもあるように、Y理論では、
機会を与えるマネジメント手法
が取られる。
キャリアコンサルティングでの応用
マグレガー理論は、キャリア相談でも使える。
相談者が力を発揮できない背景には、職場の人間観やマネジメントスタイルが関係している場合がある。
細かく管理されないと不安な人もいる。
逆に、細かく管理されると力を失う人もいる。
指示命令型の職場が合う人もいれば、自律性を重視する職場が合う人もいる。
キャリアコンサルタントは、相談者がどのような職場環境で力を発揮しやすいかを見る必要がある。
特に、Y理論的な環境を求める人は、裁量、成長機会、責任、創造性を重視することが多い。
一方、安定や明確な指示を求める人には、ある程度構造化された職場の方が合う場合もある。
重要なのは、どちらが絶対に良い悪いではなく、相談者の特性や状況に応じて考えることである。
第4章のまとめ
マクレランドは、社会的欲求として、達成欲求、権力欲求、親和欲求を示した。
達成欲求は成果を上げたい欲求。
権力欲求は他者に影響を与えたい欲求。
親和欲求は親密な関係を維持したい欲求。
マグレガーは、人間観に基づくマネジメント理論として、X理論・Y理論を示した。
X理論は、人間は怠け者で強制や命令が必要という考え方。
Y理論は、人間は自発的に働き、責任を引き受けるという考え方。
この2つは、働く動機だけでなく、職場環境やマネジメントとの相性を考えるうえでも重要である。
第5章 有料版|試験対策の横断整理――動機付け理論はこう覚える
ここからは有料版パートとして、キャリアコンサルタント試験に向けて、動機付け理論を横断的に整理する。
試験では、単に理論名を問うだけでなく、誰の理論か、何を主張したか、似ている理論との違いは何かが問われる。
したがって、ここでは暗記しやすい形にまとめる。
1 まず理論家とキーワードを一対一で覚える
最初に、理論家とキーワードを対応させる。
マズロー。
欲求5段階説。
ハーズバーグ。
二要因理論。
衛生要因と動機付け要因。
アルダファー。
ERG理論。
生存欲求、関係欲求、成長欲求。
マクレランド。
達成動機理論。
達成欲求、権力欲求、親和欲求。
マグレガー。
X理論・Y理論。
まずはここを絶対に落とさない。
試験では、理論家名と理論名の組み合わせを入れ替えて出されることがある。
たとえば、
ハーズバーグとERG理論を結びつける。
アルダファーと二要因理論を結びつける。
マクレランドとX理論・Y理論を結びつける。
こうした誤りを見抜く必要がある。
2 マズローは「5段階」と「自己実現」
マズローで最重要なのは、欲求5段階説である。
生理的欲求。
安全の欲求。
所属と愛の欲求。
承認の欲求。
自己実現の欲求。
試験では、順番を問われることがある。
下から、
生理。
安全。
所属と愛。
承認。
自己実現。
この順である。
覚え方としては、
生きる、安全、仲間、認められる、自分らしく生きる
と押さえるとわかりやすい。
さらに、自己実現の欲求は最上位であり、自分の能力や可能性を発揮し、創造的活動や自己成長を図りたい欲求である。
3 ハーズバーグは「不満を減らす」と「満足を高める」を分ける
ハーズバーグの二要因理論で最も大事なのは、満足と不満足は単純な反対ではないという点である。
衛生要因は、不満を減らす。
動機付け要因は、満足を高める。
ここを絶対に押さえる。
衛生要因には、
給与。
職場環境。
会社の方針。
人間関係。
地位。
労働条件。
などがある。
動機付け要因には、
達成。
承認。
仕事そのもの。
責任。
成長。
昇進。
などがある。
ひっかけとして、給与を動機付け要因と誤認しやすい。
しかし、ハーズバーグでは、給与は基本的に衛生要因である。
給与を上げれば不満は減るかもしれない。
しかし、それだけで仕事への満足が高まるとは限らない。
この理解が重要である。
4 アルダファーは「ERG」と「同時に生じる」
アルダファーはERG理論である。
Eは、Existence。
生存欲求。
Rは、Relatedness。
関係欲求。
Gは、Growth。
成長欲求。
マズローの5段階説を、3つに整理したものと考えると覚えやすい。
生存欲求は、生理的欲求と安全の欲求に近い。
関係欲求は、所属と愛の欲求や承認欲求の一部に近い。
成長欲求は、自己実現の欲求に近い。
そして、ERG理論の重要ポイントは、欲求が同時に生じることがあるという点である。
マズローは、低次から高次へ段階的に進むイメージが強い。
アルダファーは、複数の欲求が同時に生じると考える。
ここが試験で問われやすい。
5 マクレランドは「達成・権力・親和」
マクレランドは達成動機理論である。
重要なのは3つ。
達成欲求。
権力欲求。
親和欲求。
達成欲求は、良い成果を上げたい欲求。
権力欲求は、他者に影響を与えたい欲求。
親和欲求は、他者と親密な関係を維持したい欲求。
ここでのひっかけは、親和欲求をマズローの所属と愛の欲求と混同することだ。
確かに近いが、試験ではマクレランドの3欲求として、達成、権力、親和をセットで覚える。
また、達成動機理論という名前から、達成欲求だけを覚えがちだが、権力欲求と親和欲求も必ず押さえる。
6 マグレガーは「人間観」
マグレガーは、X理論・Y理論である。
これは欲求の階層ではなく、人間観に基づくマネジメント理論である。
X理論は、人間は怠け者で、強制や命令をされなければ働かないという考え方。
Y理論は、人間は内的欲求によって自発的に働き、責任も引き受けるという考え方。
試験では、X理論とY理論の説明が逆になっている選択肢に注意する。
X理論は管理・命令・統制。
Y理論は自律・責任・機会付与。
この対比で覚える。
7 似ている理論の違い
ここが試験で非常に大事である。
マズローとアルダファーは似ている。
マズローは5段階。
アルダファーはERGの3分類。
マズローは低次から高次への段階性。
アルダファーは同時発生も認める。
ハーズバーグとマズローも混同しやすい。
マズローは人間の欲求全体を階層化した理論。
ハーズバーグは仕事の満足・不満足を説明する理論。
マクレランドとマズローも混同しやすい。
マズローは5段階の欲求。
マクレランドは達成、権力、親和という社会的欲求。
マグレガーは他の理論と少し違う。
マズロー、ハーズバーグ、アルダファー、マクレランドは、主に欲求や動機の内容を説明している。
マグレガーは、人間観とマネジメントの考え方を示している。
8 実務での使い分け
試験対策だけでなく、実務でどう使うかも押さえておく。
相談者が生活不安を訴えるなら、マズローの安全欲求、アルダファーの生存欲求が関係する。
相談者が「給与や職場環境に不満がある」と言うなら、ハーズバーグの衛生要因が関係する。
相談者が「成長できない」「評価されない」と言うなら、ハーズバーグの動機付け要因が関係する。
相談者が「人間関係がつらい」と言うなら、マズローの所属と愛の欲求、アルダファーの関係欲求、マクレランドの親和欲求が関係する。
相談者が「成果を出したい」と言うなら、マクレランドの達成欲求が関係する。
相談者が「裁量がほしい」「任せてほしい」と言うなら、マグレガーのY理論的な環境が合う可能性がある。
このように、理論を相談者理解のフレームとして使える。
9 最短暗記フレーズ
最後に、試験直前用に最短フレーズでまとめる。
マズローは、欲求5段階。
生理、安全、所属と愛、承認、自己実現。
ハーズバーグは、二要因理論。
衛生要因は不満を減らす。
動機付け要因は満足を高める。
アルダファーは、ERG理論。
生存、関係、成長。
欲求は同時に生じる。
マクレランドは、達成動機理論。
達成、権力、親和。
マグレガーは、X理論・Y理論。
Xは命令・統制。
Yは自律・責任。
これだけでも、かなり点が取れる。
第5章のまとめ
動機付け理論は、キャリアコンサルタント試験で頻出の重要分野である。
特に、理論家とキーワードの対応を間違えないことが重要である。
マズローは欲求5段階説。
ハーズバーグは二要因理論。
アルダファーはERG理論。
マクレランドは達成動機理論。
マグレガーはX理論・Y理論。
そして、各理論の違いを押さえる。
マズローは階層。
ハーズバーグは満足と不満足。
アルダファーは3分類と同時発生。
マクレランドは社会的欲求。
マグレガーは人間観。
この横断整理ができれば、試験問題でかなり戦いやすくなる。
全体まとめ
動機付け理論は、働く人の意欲や満足を理解するための重要理論である。
マズローは、人間の欲求を5段階に整理した。
生理的欲求、安全の欲求、所属と愛の欲求、承認の欲求、自己実現の欲求である。
ハーズバーグは、仕事の満足と不満足を二つの要因で説明した。
衛生要因は不満を減らし、動機付け要因は満足を高める。
アルダファーは、ERG理論で欲求を生存、関係、成長に整理した。
欲求は同時に生じることもある。
マクレランドは、達成動機理論で、達成欲求、権力欲求、親和欲求を示した。
マグレガーは、X理論・Y理論で、人間観によるマネジメントの違いを示した。
これらの理論を学ぶ意味は、単に試験のためだけではない。
相談者が何に悩み、何を求め、どのような環境で力を発揮できるのかを理解するためである。
キャリアコンサルタントに必要なのは、相談者の言葉の奥にある欲求を見抜く力である。
生活の安定を求めているのか。
人間関係を求めているのか。
承認を求めているのか。
成長を求めているのか。
達成を求めているのか。
裁量を求めているのか。
そこを見極めることで、支援はより深くなる。
動機付け理論とは、働く人の心のエンジンを理解するための理論である。
そして、そのエンジンがどこで止まり、どこで動き出すのかを見つけることが、キャリアコンサルタントの重要な役割なのである。


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